News 2002年12月9日 07:00 PM 更新

特集 2002年回顧(1)
「デジタルな著作権」をめぐる攻防(前編)

カジュアルコピーから海賊版まで、さまざまな形で横行する著作権侵害に対し、2002年は著作権団体側が本格的な反転攻勢に出た1年だった。矢継ぎ早に起こされた著作権関連訴訟やコピーコントロールCDの登場、ファイル交換ソフトの象徴だったNapsterの“死”など、2002年のデジタルな著作権をめぐる攻防を、Newsの記事から振り返る

▼Napsterの“死”――P2Pは生き残れるか?
▼ハリウッドの論理、シリコンバレーの哲学
▼デジタルミレニアム法は悪法か
▼サイバー社会のレジスタンス

【後編】
▼著作権管理のテクノロジー
▼コピーコントロールCD、ただいま“順調に”普及中
▼神だけが逮捕されるとは限らない――日本における著作権の動き
▼デジタル著作権の事件簿

Napsterの“死”――P2Pは生き残れるか?

ファイル交換ソフトの草分けとして、一躍時代の寵児となったNapsterが今年6月、倒産した。著作権保有者側の訴訟攻勢に耐えかねての結末だった。同社は紆余曲折を経てRoxioによる買収が認められたが、今後の道筋は不透明。KazaaやMorpheusなど“ポストNapster”の新興勢力への締め付けも厳しさを増している。そんな中、P2Pを違法コンテンツ交換のツールから、ビジネスツールへと転換させようとする新たな動きも見られる。

Napsterが完全に消える
BertelsmannによるNapster買収を、裁判所は認めなかった。同社が精算手続きに入ることによる実質的影響はほとんどない。だが象徴的意味合いは大きい

  • Roxioのもとに落ち着いたNapster――法廷が買収を承認(ロイター)
  • 「新生Napster」の夢が無期限に遠のく

    Kazaa新版はレーベルの怒りに油を注ぐ?
    Kazaaの新版には、レコード/映画業界のP2P対策に真っ向から対抗する新機能が含まれている。これら業界の怒りを招くことは必至だ

  • Kazaaめぐる訴訟で審問(ロイター)
  • KazaaとStreamCast、訴訟費用に窮して白旗
  • 本拠地は南の島――Kazaaオーナーの正体が明らかに
  • Morpheus騒動で注目を浴びる、謎多きP2P企業Sharman

    GnutellaはMorpheusの救世主となるか?
    FastTrack/Kazaa系ファイル交換のMorpheusがGnutellaへと移行。Morpheusで先日起きた問題と今回の「分裂」は、P2P型ファイル交換サービスの今後に暗雲を投げかける……?

  • ようやく登場のMorpheus新版、ユーザーの反応はまちまち

    音楽ファイル交換、ユーザーも訴訟ターゲットに?
    訴訟活動がファイル交換の利用量に及ぼしている影響は微々たるもの。業を煮やした米音楽業界が、海賊行為の取り締まりを強化しようとしている

  • ファイル交換ユーザーが刑事訴追の対象に
  • Madster、海賊行為防止できなければ閉鎖も
  • 米レコード業界、Audiogalaxyも提訴

    「P2Pへの合法ハッキング」法案、米議員が反対派を批判
    著作権保有者のP2Pネットワークへの攻撃を認める法案について、米下院で初の公聴会が開かれた。支持派の米議員は「誤解がある」としてこの法案を擁護した

  • 「P2Pへの合法ハッキング」法案、大幅修正へ
  • 著作権者の“合法ハッキング”、米国外では「おそらく違法」

    ファイル交換ソフト“狂騒曲”
    ファイル交換ソフト「ファイルローグ」がサービスを発表するやいなや、音楽業界が過敏とも言える反応を見せた。コンテンツ流通量は「WinMX」の足下にも及ばないが、このファイル交換ソフトの登場により、音楽業界のファイル交換ソフト対策は一気に加速し始めた

    完全匿名P2Pソフト「Freenet」、新バージョンに飛躍の期待
    完全匿名のファイル交換が可能な「Freenet」の新バージョンが登場。これまで一般ユーザーをほとんど集めていなかった同ソフトだが、0.5版はダウンロードを推奨できる初のバージョンだという

    P2Pの旗手たちは「ファイル交換」から「ビジネス」へ
    Napsterなどのファイル交換サービスで世を席巻したP2Pの草分けたちが、新企業を設立し、ビジネス向けのP2P製品を送り出している

  • コンテンツ配信をP2Pで――エンターテイメント業界を狙う新興企業
  • Kazaaネットワークに有料コンテンツ――「P2Pで商用サービス」は成功するか?

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  • ハリウッドの論理、シリコンバレーの哲学

    攻勢をますます強めるコンテンツホルダーに対し、微妙な立場に立たされているのが、コンピュータ業界だ。過度の規制はインターネット利用やデジタルデバイスの普及そのものの妨げになりかねないからだ。両者の論理と哲学のすれ違いは、次第に大きな火種になりつつある。

    RIAAの顧客情報開示要求に、Yahoo!とISPも反発
    P2Pユーザーの身元を開示するようにというRIAAの要求を、Verizonが拒否していた件で、米国のYahoo!およびISP業界団体、消費者擁護団体がVerizonを支持する文書を裁判所に提出した

  • 米レコード/映画協会による摘要書の内容が明らかに

    ハリウッドの“Appleびいき”に陰り――挽回なるか?
    デジタルメディアに強いはずのApple。だが大手の映画スタジオ5社が先日米国で立ち上げたオンラインサービスでは、Macがサポートされていない。原因は、同社のコピーコントロールに対する姿勢にある

    ハリウッド、間もなく著作権戦争で大勝利?
    「デジタルTV受像機に強制的に著作権保護技術を埋め込む」という提案に対する米連邦通信委員会の意見が、まもなく出される。これが認められる可能性はどうやら高そうだ……

    DivXはハリウッドの“友”になれるか?
    映画業界と手を組もうと、DivX Networksがハリウッドで「DivX 5.0」の立ち上げを行った。同ソフトの作者であるカルトヒーローの“Gej”も参加した

    米映画業界、「1ドル映画サイト」を閉鎖に追い込む
    1本1ドルで映画をストリーミング提供していたイランのサイトが、米国映画協会の働きかけによって閉鎖された

  • 1本1ドルの台湾映画サイトが強制的に閉鎖
  • 値下げにコピー制限緩和――挽回を図るオンライン音楽サービス

    [WSJ] 社員の違法ファイル交換を許すな――米大企業1000社に警告書簡
    米音楽/映画業界団体が大企業1000社に対して警告書簡を送付する。職場のネットワークを利用して社員が音楽/映画の違法ファイル交換を行った場合、雇用主が法的責務を問われる可能性をほのめかした内容だ

  • メディア業界団体、EUに海賊版取り締まり強化を提案

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  • デジタルミレニアム法は悪法か?

    米国ではデジタルミレニアム著作権法が猛威を振るった。バグ公開への圧力やディープリンクの禁止など、同法を使った行き過ぎともいえる取り締まりも行われ、サイバー社会の間では、とんでもない悪法だとの反発が強い。

    揺らぐ“ハッキング”と“犯罪”の境界線
    ここ最近、脆弱性を公表しようとする研究者に対し、米企業が法的な脅しをかける例が増えている。このため独立した立場でバグの研究に携わる“グレーハット”ハッカーの間で、逮捕や訴訟への懸念が高まっている

  • バグ情報公開で著作権法違反?
  • DMCAによる圧力は「HPの方針にあらず」

    増えるサイト削除要求、言論か権利侵害か
    ディープリンク禁止要求に続き、米国で「知的財産権侵害」を理由とする個人サイトやISPへのページ削除要求が増えている。一部では、新著作権法を盾にした取り締まりの傾向を危惧する声もある

  • DVDコピーツールの公開許さず――再びの判決
  • 初のDMCA刑事訴訟、公判間もなく(ロイター)

    IEEE、“血なまぐさい”米著作権法に見切り
    ロシア人技術者の逮捕劇やプリンストン大学教授に対する圧力などで“悪法”扱いされることの多い米国の「デジタルミレニアム著作権法」(DMCA)。IEEEは、科学論文などの執筆者に同法への準拠を求めないことにした

  • 著作権法に米国憲法との矛盾点――市民団体が提訴
  • Grateful Deadの作詞者がDMCAを批判

    ギークスよ、政治行動を起こす時が来た?
    ワシントンの一部政治家はコンピュータ業界の発展を損なうような法案の取りまとめに余念がない。しかしギークスやコンピュータ業界は、PACなどの圧力団体を作り、彼らを落選させるということによってその影響力を行使しようとし始めている

  • 消費者寄りのデジタル保護法案

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  • サイバー社会のレジスタンス

    著作権者側の攻勢に、サイバー社会も黙っているばかりではない。高い著作権料の取立てを逃れて、由緒正しい“海賊放送”で抵抗するネットラジオ局から、著作権者への訴訟沙汰まで、種々のレジスタンス活動が繰り広げられている。

    地下に潜れ――ネットラジオのレジスタンス
    ロイヤリティの徴収ルールが決まったことで、小規模なオンラインラジオは廃業の危機に追い込まれている。だが、著作権団体にお金を払う気も、そして廃業する気もない放送局も少なくない。そんな彼らが目指すのは、そう、地下組織化だ

  • 米ネットラジオの楽曲使用料、八方丸く収まる結果に(ロイター)
  • 広がる著作権料の波紋。またもWebラジオ局が放送中止に
  • RIAAも憤慨、米ネットラジオの著作権料率

    オープンソースの権威、DMCAの圧力でDVDハッキングのデモ中止
    オープンソース運動のリーダーの1人、Bruce Perens氏が、DMCA違反の恐れがあるという理由でDVDプレーヤーのハッキング方法のデモを中止した

  • RIAAのサイトにDoS攻撃
  • 米国でも“エイプリールフール祭り”

    映画大手3社、ネット配信妨害で訴えられる
    デジタル映画配信サービスの米Intertainerが、大手映画会社3社が同社のサービスを妨害するために、映画のライセンス供与を拒否したとして訴訟を起こした

    目指すはファイル交換の合法化?――ハイテク大手がKazaaを後押し
    ネット上での著作権料徴収をめぐって「強制ライセンス」という考え方が浮上している。ラジオなどで取られてきた手法で、許諾権を失うコンテンツ側は猛反対。しかし、ファイル交換サービスのKazaaと通信やコンピュータの大手が導入で手を組み始めている

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