News | 2002年12月17日 01:55 AM 更新 |
WISSの実行委員の中では、「クイズ番組をPCとネットワークを使って実現する」とか、「いっそ、日本テレビの高校生クイズのような形式はどうか」などという冗談も出ていたくらいで、リアルタイム・インタラクティブの究極の形は、テレビのクイズ番組に近い形になっていくのかもしれない、と感じさせるところがあった。
実際、リアルタイムの支持率やチャットというのは、クイズ番組的な要素を多分に秘めている。WISSにはテレビの未来を示す要素もある。ロボカップのように中継されたら、ブレイクするかもしれない。
チャットシステムは、このWISS2002のために大阪電気通信大学総合情報学部情報工学科の魚井研究室によって開発された、専用の2次元チャットシステム「alice」を使用した。「alice」は、2次元平面上にチャットが配置されるというシステムで、平面の特徴を生かして、画像を貼り込んだり、直接画像を書き込んだりすることもできる。
文字だけでは説明しきれない部分については、ちょっとした手書きのメモを付け加えられるわけで、相互理解には欠かせない機能を過不足なく実現しているソフトだといえるだろう。今回、70人以上が同時に参加して動作するという実績もあり、チャットシステムとしてみても、実用段階にあると考えられる。
WISS2002総括
今回は実際にWISSに参加し、全セッション、全デモを見た中から、すぐに実用になる、あるいは、コンピューティングの研究として、きわめて興味深いトピックを抜き出して紹介した。
すぐに実用になる、というのは、進化の早いコンピュータの世界では、次世代研究といえども、現在からかけ離れて存在することはありえない、と考えるためであり、「学」の研究が、象牙の塔の中にあるものではなく、現実にコンピューティングを変えるくらいのインパクトを持っているのではないかと考えるためである。
実際、WISSのプログラムのなかには、フリーソフトとして公開されているものもある。最先端のコンピュータ研究者が、次世代を見据えて作ったものが、実験用の試作版とはいえすぐに手に入って使える、というのは、ワクワクする出来事だ。
WISSで評価されたプログラムが、IPAなどのプロジェクトとして採択され、産業のために活用されることも増えているようだ。WISSから生まれてくる未来コンピュータの研究は着実に目に見える形で成果を上げている。
ユビキタスコンピューティングのジャンルでは、PC時代以上に、若い日本人の研究者の独創性が、世界からも注目されている。これから、ますますWISSは盛り上がっていくだろう。
参加者の1人は、「WISSの参加者と話していると新しいアイデアも浮かんできますね。やる気がまたまた高まってきました」とおっしゃっていた。
アイデアは、刺激の中から生まれる。来年のWISSでは、会場でぜひ多くの方とお会いしたいと思う。
最後に、取材させていただいた方々に感謝したい。初歩的な質問に付き合っていただいた方々にも。(美崎薫)
[美崎薫, ITmedia]
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