News 2003年1月21日 01:12 AM 更新

“3倍ズーム&320万画素”のEXILIMを見てきました(後編)――大画面液晶が提案する“デジカメ新活用術”

「新ブランド“EXILIM ZOOM”は薄型のみを追い求めたものではない」とカシオの開発担当者は語る。それでは、EXILIM ZOOMが目指したのは、どんなデジカメなのだろうか?

 薄型コンパクトボディに、沈胴式の光学3倍ズームレンズを搭載したEXILIM ZOOM。その小型サイズを実現するために採用された数々の最新テクノロジーについては、「前編」で紹介した。だが、新ブランド“EXILIM ZOOM”は「薄型のみを追い求めたものではない」と、開発担当の同社開発本部商品企画室リーダー渋谷敦氏は語る。

 薄型以外のEXILIM ZOOMのこだわり――それは液晶ディスプレイの“大きさ”と、それを生かす“多彩な再生機能”だ。

コンパクトデジカメとしては異例の大型液晶を装備

 200グラム以下で手のひらサイズのコンパクトデジカメの多くは、1.5−1.8インチの液晶ディスプレイを搭載している。中にはサイバーショットUのように、小型化を求めるあまり1インチという小さな液晶しか搭載できなかった機種もある。

 それに対して、EXILIM ZOOMは2インチというコンパクトデジカメとしては大型の液晶を搭載した。この液晶も前作のEXILIM同様、デジタルインタフェースを採用した同社独自開発のTFT液晶ディスプレイで、にじみがなく視認性の良い表示と薄型化とを両立している。


コンパクトデジカメとしては大型の2インチ液晶を装備

 「2インチの液晶は、1.5インチに比べて面積比で約1.8倍も大きい。ただし液晶を大型化しても、デジカメの基本性能として光学ファインダはしっかりと残した。EXILIM ZOOMでは、この大型液晶を活用できるさまざまな新機能を備えた」(渋谷氏)。

大型液晶を生かした多彩な再生機能

 大型液晶を活用するために機能アップされたのが、本体に標準添付される「クレードル」。EXILIMシリーズは、このクレードルによってPC接続や充電が簡単に行えるのが特徴だった。今回の新製品ではクレードルに「USBボタン」「Photoボタン」を設置。ワンボタンでアプリケーションが自動で起動し、PCへの画像転送が開始されるUSBボタンも便利な機能だが、今回注目したいのはPhotoボタンだ。


高機能化されたクレードルには「USBボタン」「Photoボタン」を設置

 クレードルに本体を置いてこのPhotoボタンを押すと、本体に搭載されたスライドショー機能によって内蔵液晶ディスプレイで撮影画像をページをめくるように確認することができる。このスライドショー機能は、クレードルがPCに接続されていなくても動作する。

 「今回のクレードルは置いた時に液晶画面が表側になるように作ったので、このスライドショー機能でデジカメがフォトスタンドになる。PCを起動しなくても撮影画像を楽しめるので、アルバムを開く感覚で気軽にデジカメを活用できる」(渋谷氏)。


スライドショー機能でデジカメがフォトスタンドに

 撮影した画像は、ワンボタンで反転表示も行える。デジカメ本体を回転させることなく、相手に画像を見せることができるのだ。「この反転表示機能を活用することで、デジカメがプレゼンテーションツールになる」(渋谷氏)。


反転表示機能でプレゼンテーションツールに

 また、気に入った画像や他人に見られたくない画像をQVGA(320×240ピクセル)にリサイズして保存できる「お気に入りフォルダ」を本体搭載の内蔵メモリ(10Mバイト)に装備。「好きな彼女の写真を定期入れに入れる感覚で、お気に入りの画像をEXILIM ZOOMで持ち歩くことを提案した」(渋谷氏)。

 ユニークなのは、画像を撮影した日付ごとにサムネイル化して月別のカレンダーに表示できる「カレンダー表示機能」だ。

 「大画面液晶によって、1カ月分の画像が一覧できるカレンダーが可能になった。例えば、毎日1枚ずつその日の様子を撮影していけば、絵日記のような自分の行動記録ができあがる。1日に複数枚撮影した時は、その日最初の画像が表示され、その画像を選択すると、その日撮った画像の一覧ページに飛ぶといったカタチになる。画像の一覧表示によって、大容量のメモリカードで大量に撮影しても、目当ての画像を見つけやすい」(渋谷氏)。


画像をサムネイル化してカレンダーに表示できる

 「実際に私もカレンダー表示機能を試すために、出張時に会った人などを撮影したりその日にあったトピックスを撮影してみたが、使っているとカレンダーに画像が埋まっていないスペースが寂しくなって、つい毎日撮影してしまうようになった」と、渋谷氏は自らの体験談を交えて新機能を説明する。

“毎日使いたくなるようなデジカメ”を提案

 スライドショー機能でデジカメがフォトスタンドになる。定期入れに入れた写真を見る感覚で、気軽に素早くお気に入りの画像を液晶ディスプレイで確認できる。反転表示機能を使って、外出先でプレゼンテーションのツールとして活用する。そして、渋谷氏の体験談のように、毎日の画像を一覧表示できるカレンダー表示機能1つあるだけでも、ユーザーは毎日デジカメを使おうという気持ちになっていく。

 つまりこれらが、同社の提案する“デジカメの新しい活用術”なのだ。

 「このような“毎日使いたくなる機能”を搭載することで、デジカメの使用頻度も高くなる。これがカシオの新しい提案。これまでデジカメに付いた液晶ディスプレイは、撮影画像をちょっと確認できればいいというものだった。毎日持ち歩ける薄型軽量のズーム付きデジカメに大画面液晶を搭載し、それらを活用できる新機能を提案することで、デジカメが“新しいコミュニケーションツール”になっていく」(渋谷氏)。



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[西坂真人, ITmedia]

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