News 2003年3月12日 03:00 PM 更新

Centrino搭載ノート、各社の製品コンセプト
小型軽量化をさらに追求した東芝「dynabook SS S7」(2/2)


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 「ユーザーの要求では、背面を始めとするインタフェースレイアウトをS6と同じくすることが、バッテリ駆動時間を伸ばすことよりも優先された。既存レイアウトを踏襲するとバッテリサイズの大型化は無理。そのため、バッテリ駆動時間は現状維持となった」(原田氏)

 すなわち、バッテリ駆動時間よりもインタフェースレイアウトの継承性をユーザーが望んでいるのが、「2.5時間」というスペックに最も大きく影響しているわけだ。


ユーザーの評価が高い背面にインタフェースを集中したレイアウト。米国ではドッキングステーションとの親和性からこのインタフェースレイアウトが好まれるらしい。S7からは背面カバーを廃止してさらに利便性を高めている

さらなる軽量化は素材の薄型化で実現

 S7ではS6と比べて100グラムの軽量化、サイズにして幅を3ミリ削減している。値はわずかであるが、すでにギリギリまで殺ぎ落としてあったS6からさらに軽量化、小型化を進めるわけで、非常に困難な設計になる。

 軽量化のために行われたのは底面パネルの厚さ削減と、液晶のガラスパネルの厚さ削減だ。底面パネルを薄くした分の強度は底面パネルと側面パネルを一体化する「バスタブ構造」を採ることで補強している。また、ガラスパネルは薄くなると「柔軟性が増し、かえって割れにくくなる」(中村氏)そうだ。

 幅の削減は「基板実装の高集積化。LCD取り付け部の圧縮、アンテナの側面から上部への移設」(中村氏)で実現している。


底面パネルを薄くした代わりに、側面パネルを底面と一体化し構造的に強くした開口部の囲みも肉厚にして強度を持たせている

 システムとしての消費電力が微増してるため、冷却機構が強化されているのは前述のとおりだが、その具体的は方策は「ULV Pentium M程度なら従来の方式で対応できる。一番問題だったのがビデオチップ。ただし、こちらもビデオチップ上のきょう体にスリットを設け、フレッシュエアがビデオチップにあたるようにすれば十分」(中村氏)と基本的には従来のSSシリーズで行ってきた「拡散放熱」で対応でできている。


S7の基板。こちらがきょう体の裏側になる。アルミパネルの下にCPU、その脇にノースブリッジ→ビデオチップ→サウスブリッジと並ぶ。信号の流れ的にある程度ベストなレイアウトは決まってくる。理想をいえばビデオチップはノースとサウスの間でなくノースの真横におきたいが、奥行きサイズを考えると難しいそうだ。ノースとサウス間のバスは「基板の内部層を通っている」(中村氏)


基板の表側。こちらの青い基板はハロゲンフリーの量産バージョン。製品にはこちらの基板が搭載される」(中村氏)ためで、最近のマザーボードのように、無意味なデザインのためではない

東芝が考えるCentrinoのセールスポイントは?

 CentrinoノートPCを東芝はどのようにアピールしていこうとしているか。これはちょうど取材当日に出来上がったばかりのカタログで、最も大きくアピールしているスペックでうかがい知ることができる。

 A4ファイルサイズ3スピンドルのDynaBook V7は「バッテリ駆動時間」、S7は「Centrinoブランド」を最も大きいロゴを使ってアピールしている。インテルが推進するCentrinoブランドの信頼性によってモバイル環境における使い勝手の良さが、Centrinoブランドを採用したS7のセールスポイントとなるようだ。

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[長浜和也, ITmedia]

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