News 2003年4月3日 11:29 PM 更新

最新デスクトップと同等機能のMOBILITY RADEON 9600発表

ノートPCでもデスクトップPC並みのパフォーマンスはもう当たり前。Pentium M対応の統合型チップセットも登場した

 ATIテクノロジーズが4月3日に行った新RADEONシリーズの発表会では、同時にノートPC向けビデオチップの新製品「MOBILITY RADEON 9600」「MOBILITY RADEON 9200」、ビデオコア内蔵の統合型チップセット「MOBILITY RADEON 7000 IGP」も発表された。

 MOBILITY RADEON 9600は、3月に登場したCentrinoノートPCで搭載され始めたMOBILITY RADEON 9000の上位バージョンにあたる。

 MOBILITY RADEON 9000はDirect X 8.1、Pixel Shader 1.4、Vertex Shader 1.4対応と、ようやくデスクトップ相当の機能を持つようになったが、MOBILITY RADEON 9600は、レンダリングエンジン4ユニット、Vertex Shaderエンジン2ユニットを実装。Direct X 9.0、Pixcel Shader/Vertex Shader2.0、6X FAA、16X Anisotropic Filteringに対応と、一気に本日発表されたばかりのRADEON 9600に匹敵する機能をサポートする。

 NVIDIAが「GeForceFX Go」に最新デスクトップ向けビデオチップと同等の機能を実装したことをアピールしていたが、ATIテクノロジーズもデスクトップ用最新ビデオチップ相当の機能をノートPC向けビデオチップでいち早く実現できたことになる。


表示品質の比較デモ。左がMOBILITY RADEON 9600で右が「他社の競合製品」。ポットの表面がMOBILITY RADEON 9600ではつるんとしているが、競合製品の表示では格子状の模様が浮き出ている

 ビデオメモリには高速なデータアクセスと省電力を両立させた「GDDR2-M」を搭載する。GDDR2-Mはターミネータをダイに内蔵して配線長を短縮。さらにパターンレイアウトのチューニングや信号線の追加など、GPUとビデオメモリのインタフェースを最適化して高速動作を可能にしている。「DDR SDRAMで安定動作の限界が350MHzだったが、GDDR2-Mでは400+MHzまでいけるだろう」(ATIテクノロジーズジャパン PCビジネス・ユニット アプリケーションエンジニアリンググループ 部長 信垣育司氏)。

 MOBILITY RADEON 9200はMOBILITY RADEON 9000の後継。動作クロックやサポートする機能はほとんど同じ。ただし、MOBILITY RADEON 9600と同様AGP 8Xに対応するようになった。


3DMark03で測定したMOBILITY RADEON 9200とGeForce FX Go5200のパフォーマンス比較

 MOBILITY RADEON 9600/9200では、ノート用ビデオチップでは必須の省電力機能を「POWERPLAY 4.0」で対応している。

 POWERPLAYはATIテクノロジーズが開発したビデオチップ省電力機能。供給されている電源の種類(ACまたはDC)、ビデオチップの負荷状況(オーバーレイの有無、3D演算処理数など)を自動的に判断して、ビデオチップの動作クロックとコア電圧をそれぞれ2段階のステップで切り替える。

 最新バージョンのPOWERPLAY4.0では、温度センサーを内蔵し、監視しているチップの温度も自動切り替えの判断材料にしている。また、ユーザーがコントロールパネルからコア電圧とクロックを組み合わせて「High」「Middle」「Low」の3モードを使い分けられる。

 MOBILITY RADEON 9600の動作クロックは最大300MHzに最小100MHz、コア電圧は1.2Vから1.0Vの範囲で変更できる。ノートPCベンダーは開発するノートPCのサイズに合わせて自由に選択できるようになっている。


MOBIRITY RADEONのパフォーマンス、動作クロック、電圧の時系列推移。コア電圧だけが減少しつづけており、POWERPLAY4.0では1.0V駆動が実現した


POWERPLAY 4.0の構成図。入力因子である供給電源、バッテリー残量(電圧)、利用状況、設定状況、チップ温度から判断して動作クロックとコア電圧を2段階で切り替える

 MOBILITY RADEON 7000 IGPはビデオコアをノースブリッジに内蔵した統合型チップセット。サードパーティとしては初のPentium M対応統合型チップセット製品となる。メモリはPC2700をノートPCとしては初めてサポート。FSBも553/400MHzに対応している。


3DMark2001で測定したMOBILITY RADEON 7000 IGPとSiS 651のパフォーマンス比較


MOBILITY RADEON 7000 IGPは統合型チップセットだが、外付けビデオチップのインタフェースを持っており、デスクリートの高性能ビデオチップを追加できる

 今回発表された製品は、現在サンプル出荷段階。量産品は4月中に出荷開始。ATIテクノロジーズによると、搭載ノートPCの開発ベンダーとしてNEC、富士通、ヒューレット・パッカードなどの名前が挙がっている。搭載ノートPCは5月にも登場する予定だ。

関連リンク
▼ ATIテクノロジーズ
▼ エルピーダメモリ

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[長浜和也, ITmedia]

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