News 2003年4月9日 11:30 PM 更新

インテル デベロッパ・フォーラム Japan Spring 2003開幕(1/2)

初日に行われたモバイルコンピューティング技術トラックでは、省スペース低コストを実現する次世代PCカード“NEWCARD”の具体的な解説や、ホットスポット課金に携帯電話方式を応用する構想の説明が行われた

 インテル主催による「インテル デベロッパ・フォーラム JAPAN Spring 2003」(以下IDF JAPAN Spring2003)が4月9日、ヒルトン東京ベイサイドで開幕した。

 11日までの3日間に渡って行われる今回のイベント、本格的なスタートは2日目の10日に行われる米Intel CTO、Patrick P. Gelsinger氏のオープニングキースピーチから。初日の9日はデジタルホーム・アーキテクチャや、サーバ、ストレージ、PCA、モバイルコンピューティング関連の技術トラックプラグラムが行われた。

 このうち、モバイルコンピューティングに関する技術トラックプログラムでは、インテルが2004年で実現すべきノートPCの機能を定めた「Mobile Internet PC 2004 Vision」の紹介や、この2004 Visionで実現を目指す「Alway Best Connected」「Always-On Secondary Display」「Location Aware Computing」に必要となる個別テクノロジーについて解説があった。

 その多くは3月に米国で行われた「Intel Developer Forum Spring 2003」(以下 IDF Spring 2003)とほぼ同じものだったが、ノートPCの次世代拡張インタフェース「ノートPCC向けPCI Express」「NEWCARD」について、IDF JAPAN Spring2003ではより具体的な説明が行われた(なお、「Concept Platform」「Second Display」など、その他の個別テクノロジーについては、本田雅一氏のIDF Spring 2003レポートを参照のこと)。


PCI Expressと“NEWCARD”の実装イメージ。抜き差し可能なNEWCARDに内蔵のMini-PCI Express。ともにフットプリントは従来カードの半分

省スペースとコスト削減に貢献する“NEWCARD”

 インテルによれば、ノートPCがPCI ExpressやNEWCARDを実装するメリットは、「高度な省電力機能によるバッテリー駆動時間の延伸と、PCカードと比べて小さな実装面積による、ノートPCのさらなる小型化が可能」だという。

 このうちNEWCARDは現在PCMCIAで規格策定作業が進められており、2003年第3四半期に正式決定される見通しだ。“NEWCARD”という名称もインテルの開発コード名で、正式名称は規格策定後に決定される。

 NEWCARDのフットプリントは、ちょうどPCカードTypeIIを縦に二等分したサイズに相当する。従来のPCカードTypeIIは2つのスロットを縦配列で隣接させていたが、現在主流の薄型ノートPCになると厚さの関係で縦置きは不可能。NEWCARDでは、横に並べることでPCカードスロットを隣接して配置できる。また、1枚で横に2枚並べたサイズのNEWCARD(Double Wide)もある。


上が従来からあるPCカード(Cardbusに16ビットタイプのPCカード)で、下がNEWCARD。チップセットとPCカードの間にCardBusコントローラ(とPCカードスロットコントローラ)が介入するが、NEWCARDでは、チップセットとカードがダイレクトに接続する。このため、コントローラが削減できる分、コストも削減できる

 NEWCARDはPCI ExpressとUSB 2.0をサポート。これにシステム情報を流すSMBusの3本のバスで、チップセットとNEWCARDが接続される。1スロットあたりのピン数は28本で、これがPCI Express用、USB 2.0用、SMBus用に振り分けられる(1本のピンをPCI Express、USB 2.0で共有することはない)。

 ピンピッチは1ミリ。インテルはこの間隔でもPCI Expressで要求されるデータレート2.5Gビット/秒を実現できるとしている。


NEWCARDのコネクタ構造。従来のPCカードスロットと同じ幅で2スロット分のコネクタを実装できる

 1つのチップセットで2スロットのNEWCARDをサポートするが、仮にDouble WideのNEWCARDを差した場合、バスパワーは2本分利用できるが、利用可能なPCI Expressバスは1本のみとなる。また、1枚のNEWCARDでPCI ExpressとUSB 2.0を混在させることもできない。


IDF Spring 2003ではDouble Wideカードでは2バスのPCI Expressがサポートされるという情報もあったが、今回の説明では1バスのみのサポートとなっている。パワーバスは2本サポートされる

 本体内蔵の拡張カードは現在Mini-PCIが主流だが、これに代わるのがMini-PCI Express。こちらもフットプリントは従来のMini-PCI Type III Cardと比べて幅が半分となっている。このため、同じ実装面積のスロットで2枚分のカードが差せるのはNEWCARDと同じだ。

 インテルが紹介したテストカードでは、52ピンが0.8ミリメートル間隔で実装されている。この中で利用されるのはNEWCARDと同じ28ピン。あとは拡張用としてリザーブされている。

ホットスポットの課金に携帯電話方式を導入

 インテルがノートPCで推し進めているCentrinoブランドでは、Wireless LANによる常時接続が重要なコンセプト。そのため彼らはホットスポットの整備も積極的に進めている。加えて移動範囲がより広範囲になっても接続が維持できるように、携帯電話などのWireless WANとWireless LANのシームレスな移行もインテルは目指している。

[長浜和也, ITmedia]

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