News:アンカーデスク | 2003年4月11日 11:31 AM 更新 |
毎年4月に行なわれる世界最大規模の放送機材展、NAB2003が米国ラスベガスで開幕した。筆者は今、会場となっているLasVegas Convention Center(LVCC)内にしつらえられたプレスルームの一角でこの文章を書いている。
この世界情勢であるから、日本からのツアーは自粛するケースが多く、非公式だが今年の日本人来場者はおよそ100人程度という数字がある。確かにいつもなら日に4〜5人は知っている人に会うものだが、今年は会場内をうろついても、日本人とはほとんど出会わない。
その一方、現在経済的にも勢いのある韓国からは、600人程度の来場者があるという。同じ世界情勢下にあるにも関わらず、これだけ反応に差があるというのは、経済情勢だけでなく、国民性の差があるのではないかと思う。
ラスベガス市内や会場内は例年よりは賑わっていないものの、雰囲気はまるで戦争中の国とは思えない平穏なものだ。全米のメディア関係者が一同に集まるNAB会場にテロでもあったら一撃でメディアが停止すると思うのだが、そこまでの危機感は持っていないようだ。
インパクトのあるPanasonicの発表
まず今年のNABでセンセーショナルな話題と言えば、Panasonic(松下電器産業)のメモリ記録型カムコーダだろう。4枚のSDカードをPCIカードアダプタに装着し、それを記録媒体として録画を行なう。記録フォーマットはDVCPRO、DVCPRO50で、将来的にDVCPRO HDにも対応するという。
デジカムみたいな小さいものではなく、報道用の大型のものだ。こう言うとミもフタもないが、“D-Snapのもんのすげえやつ”と言えばわかりやすいかもしれない。ただしまだ実働モデルの展示はなく、モックアップのみである。
映像の記録メディアとしては今では磁気テープが当たり前だが、早くからディスクやメモリチップメディアの登場は予想(というより期待)されていた。しかしそれを本当に具体的な製品として発表したことには、大きな意味があるだろう。
プロ用カメラの場合、メモリメディアに録画するメリットはいろいろある。
まず1つは衝撃に強いという点である。
特に報道用としては、これは大きい。報道の現場でひしめき合って取材すると、カメラ同士ぶつかるわ転ぶわ蹴られるわで、そうとうひどい使用環境だからだ。テープは比較的衝撃には強いほうだが、それでも限度がある。メモリメディアはまずその点でアドバンテージがある。
またメディアをローディングしたり回転させたりといった駆動部がいらなくなるので、大幅な消費電力低下が見込める。長時間待機の取材などに威力を発揮するだろう。予備バッテリの数も少なくなるので、移動も楽になる。
[小寺信良, ITmedia]
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