News:アンカーデスク | 2003年4月11日 11:33 AM 更新 |
メンテナンスの面でも有利だ。テープメディアの場合、VTRのヘッド交換などで定期的にメンテナンス料金が発生するが、これもなくなるだろう。
ただ現在SDカードは1Gバイトのものが発表されているが、それを4枚集めたって4Gバイトだ。もしこれでDVCPRO HDで撮ったら、4分ぐらいで終わりである。実用的なところでは、やはり4GバイトのSDカードを使って16Gバイトのメディアにするところあたりからのスタートになるだろう。具体的な製品化は、来年になると思われる。
SONYのオプチカルディスクシステム
一方SONYは、青紫レーザーを使ったディスクメディアに映像を記録する、オプチカルディスクシステムを発表した。なんでこれをBlu-rayと言わないかというと、メディアの形は似ていても、コンシューマーのBru-Ray規格とはまったく互換性がないからである。
そもそもコンシューマーのBlu-rayはHD記録が目的だが、今回発表となったオプチカルディスクシステムはSD記録オンリーだ。だがレーザー技術やメディア規格は、Blu-rayが存在しなければ、現在もなかったはずのものである。
撮影時にはDVCAMやMPEG IMXフォーマットで映像を記録するとともに、オフライン編集用のプロキシデータも同時に記録するというのがポイント。プロキシデータというのは、要するに高圧縮したちっちゃい映像である。
撮影後はこのプロキシデータを使って、専用機もしくはパソコンでオフライン編集を行ない、局に帰ってからその編集結果のデータを使ってオンライン編集を自動的に行なう。収録から編集に至るまでの作業の流れを変えるというわけで、ソニーではこのソリューションをワークフローイノベーションと称している。
これがUSであれば、大変便利であろうと思う。「オレの仕事は終わったから帰る」といった割り切りが可能だからだ。
しかし日本でこれをやったら大変だ。
ロケが終わって帰りの車の中で一生懸命編集したからといって、すぐに家には帰してくれない。時間ができれば他のことをやってくれと、エンドレスに仕事が増えてしまうのである。また移動中にいくら頑張っても、その分がお金になるかという点は難しい。「ついで仕事」という感覚で片づけられてしまいそうだ。移動中ぐらいはゆっくりビールでも飲んで休んだ方がいいだろう。
しかしSONYのオプチカルディスクシステムも、NABの会場では突然発表されたPanasonicのメモリーカムコーダのインパクトにやられちゃった感がなくもない。もしこれがSONYに対する牽制だとしたら、かなり効いた感じだ。
このあたりのことに関してソニーの社長兼COOの安藤国威氏は、毎年Bally'sホテル行なわれるJapan Dinnerのスピーチで、「われわれは現実の技術で製品を作っていく」と述べ、まだモックしかないPanasonicのメモリカムコーダに対して、実働モデルのオプチカルディスクカムコーダを展示した自信をアピールした。
さらにハイエンドを行く
もう1つSONYの大きな目玉は、HDCAM SRフォーマットの発表である。従来のHDCAMはMPEG-2ベースだが、HDCAM SRはMPEG-4ベースとなった。また圧縮レートも1/2.7と、HDCAMの1/7に比べて低圧縮となった。
[小寺信良, ITmedia]
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