News 2003年5月8日 09:07 PM 更新

WHQL取得予定「Detonator 43.51」で気になるパフォーマンスと描画精度

「パフォーマンスを上げる代わりに描画で手抜き」と言われてきたDetonatorがついにWHQLを取得するらしい。描画精度でも「お墨付き」をいただけたわけだが、その代わりにパフォーマンスを失ってしまったのだろうか

 NVIDIAのビデオチップ「GeForceシリーズ」の総合ドライバ「Detonator」がバージョンによってベンチマーク結果が変化することは、Detonator 40の昔から皆さんご存知のとおり。最近ではGeForce FXシリーズ対応初期ドライバ「Detonator 43.03」と、その最新バージョン「Detonator 43.45」で、パフォーマンスが飛躍的に向上してしまうので有名だが、この理由として考えられているのが「Detonatorの最新バージョンは描画精度を落として、その分パフォーマンスを挙げている」ため。

「あの描画ではWHQLの取得は無理だろう」とは大方のGPU開発者の意見だったが、まもなく配布されるDetonator 43.51は首尾よくWHQLを取得したらしい。ならば、43.51はWHQLを取得するために、描画精度を高め、その分パフォーマンスを下げてしまったのだろうか。このあたりのトレードオフの状況を、ベンチマークの結果と画面の撮影画像から検証してみる。

 3DMark03で行ったベンチマークの結果は先日の記事「ようやく登場「RADEON 9600 PRO」「GeForce FX 5600」パフォーマンスを比較する」でも掲載したが、見やすいようにFX5600だけを抜き出した結果をもう一度掲載しておこう。

テスト環境

ベンチマークシステム環境
CPU Pentium 4/2.53GHz
MB GNB Max-L
メモリ PC2700 256MB×2ch
HDD DiamondMax Plus9
OS Windows XP Professional +SP1
解像度 1600×1200ドット・32ビットカラー


3DMark03 Score


3DMark03 Game1


3DMark03 Game2-4


3DMark03 PixcelShader 2.0

 Detonatorのバージョンで結果が変わるのは、総合結果の3DMark03 ScoreとGame1−4、そして個別テストではVertex Shader、Pixcel Shader 2.0。43.45と43.51を比較すると、3DMark03 Scoreの値が1441(non AA時)から1370(non AA時)と下がっているが、個別に結果を見ると下がっているのはGame3だけ(8.3から6.7)。Game3で使われる機能はGame2とそれほど変わらないので、なぜGame3だけ描画速度が遅くなるのか現時点では不明だが、これ以外の結果で変化がないところを見ると、WHQLを取得した43.51でもパフォーマンスは43.45並みと考えていいだろう。

 ならば、パフォーマンスを維持しつつ、描画精度はどの程度向上させたのだろうか。今回は、43.03と43.45で描画が異なる典型的な例として知られている画面を比較して検証してみよう。




描画比較その1「3DMark03 Game4」 上から43.03、43.45、43.51

 最初は、描画精度に問題がある例として、GPU開発関係者があげている3DMark03 Game4の画面だ。Detonator 43.03では光の影響が正しく計算されていて、明るく書き込まれていた空が、43.45では光の計算精度が不十分なため暗くなっているらしい。たしかに、問題になっている場面の空を比べてみると、43.45では光が差し込んでないため、空の青い色が認識できる。ところが、43.51で同じ画面を確認すると、43.03と同じように光が差し込んでいて、空は白く輝いている。この画面を見る限り、描画精度はある程度改善されているようだ。




描画比較その2「3DMark03 PixcelShader 2.0」 上から43.03、43.45、43.51

 次に、PC雑誌でも紹介されて有名になった、PixcelShader 2.0で検証してみる。ここで確認できるのは石像がのっている木製台座のふち。43.03では凸部の輝度が明るくなっているのに、43.45では陰影で凸部が認識できるものの、ほかの部分との輝度の差がなくなっている。43.51でもこの傾向は変わっていない。台座の部分はすべて同じような輝度で描画されているようだ。この部分に関しては43.45から変化していない。




比較その3「3DMark 2001 SecondEdition Game4」上から43.03、43.45、43.51

 最後に、3DMark 2001 SecondEditonのQuality Test 4で比較してみたい。43.03と43.45でも描画内容がやや異なっているが、45.51はこれらのドライバと比べ、かなり違う描画結果になっている。この違いがはっきりと分かるのが木の葉の描画処理だ。

 以上、43.51の変更点を検証してみた。パフォーマンスは43.45並みを維持していると見ていいだろう。とにかくパフォーマンス重視主義ユーザーは安心していい。WHQLを取得するために改善されたといわれる、肝心の描画精度に関しては、従来から指摘されていた点について一部は43.03の水準に改善しながらも、従来のままとなっている箇所もかなり残されているようだ。WHQLを取得したといっても、パフォーマンス重視の傾向は変わっていないといえるのではないだろうか。



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関連リンク
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[長浜和也, ITmedia]

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