News | 2003年5月6日 09:19 PM 更新 |
FX5600、RADEON 9600 PRO、そして比較用のTi4200とRADEON 9500 PRO。ベンチマークの結果は、9500 PRO>FX5600>9600 PRO>Ti4200(ただしNon AA)となったのは記事のとおり。ただし、細かく検証してみると、いろいろと面白い傾向が見えてくる。
GeForce FXシリーズの3DMark03 Scoreの結果が、Detonater 43.03から43.45で格段に良くなるのは、いまや広く知られているところ。「描画で間引いているから速くなったんだ」と、あるGPU開発関係者が述べており、「あの描画ではWHQLは取得できないはず」とまで言われていたが、最新の43.51ではWHQLを取得できる可能性が高いようだ。
その一方で、アンチエイリアス4sampleでおこなったFX5600の結果では、Non AAと比較したパフォーマンスの落ち込みがRADEON系より激しい。このあたりが、FXシリーズのShaderユニットやパイプラインの数でいろいろとユーザーが詮索したくなる原因になっている。
また、現在のゲーム事情を最も反映しているGame1の個別結果を見てみると、「遅い」と評判だったDetonator 43.03でも、9500 PROを上回っている。NVIDIAは3DMark03登場当初「Game1は現在のゲーム環境を再現するには軽すぎる」と批判しているが、その発言は皮肉にもGame1におけるGeForce FXシリーズの優位性を否定することになる。
この手のビデオカードに投資するユーザーは、大部分が「3Dゲームフリーク」であるはず(そして、「ベンチマークフリーク」が少なからずいるはず)。彼らにとって、ビデオカードに最も求めるのは「今売られているゲームが最速で描画できること」だ。Game2、3、4はこれから1年先で求められる将来的機能。そして1年先にこれらの機能をサポートしたゲームが登場するころには、ビデオチップは2、3世代進化しているはずだ。過去の例からして、最新のゲームはそのときの最新ビデオチップでないと満足に動作しない可能性がかなり高い。
記事でも述べたが、「僕はベンチマーク至上主義で、3DMark03のGame4が動作しないのは我慢ならない」というのと、そうでないのとではビデオカードの選択基準は変わってくるし、それに合わせて注目すべきベンチマークも変わってくる。3DMark03 Scoreの結果だけでビデオカードの売れ行きが劇的に変わってしまう今の状況も、決して健全とはいえないのだ。3Dゲームフリークなら描画が正確な43.03でもかまわなかったはずだ。ベンチマークの一部の結果があまりにもユーザーに優先されるため、描画よりも速度が優先されたドライバが登場してしまうなら、それはユーザーにとっても不幸な状況ともいえるだろう。
[長浜和也, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.