News 2003年5月8日 09:14 PM 更新

ロボカップジャパンオープン2003観戦記
RoboCup競技会の全リーグ内容

5月1−5日まで、新潟の「朱鷺メッセ」で、「ロボカップジャパンオープン2003新潟」が開催された。実際の観戦記の前に、ロボカップ(RoboCup)について簡単におさらいしておこう

 今回「ロボカップジャパンオープン2003新潟」の会場となった朱鷺(とき)メッセは、2003年5月1日にオープンしたばかりの施設。国際会議場/展示場、ホテル、それに美術館を一体化させたもので、信濃川河口近くの万代島(ばんだいじま)にある。

 開業記念事業として「朱鷺めき新潟・未来ワールド」というイベントが開催されたのだけど、ロボカップジャパンオープンもその1つだったというわけだ。



国際会議場/展示場、ホテル、美術館が1つにまとまった朱鷺メッセ

 さて、RoboCupは、国際的なロボットの競技会だ。1997年に第1回大会が行われて以来、毎年世界各地で開催され、昨年の2002年には福岡で世界大会が行われた。今年の世界大会は7月にイタリアのパドゥアで開催されるのだけど、それに先立って国内大会として開かれたのがジャパンオープン2003だ。

 RoboCupが目標として掲げるのは西暦2050年までに、人間のサッカーのワールドカップ優勝チームに勝てる自律型ロボットのチームを作ること」だ。それを目指して、次のような競技が行われる。

RoboCupSoccer

 自律型ロボットによるサッカーだ。自律型であるから、試合が始まってしまえば、人間は全く操作はできない。ロボットが自分で状況を判断してプレイするのだ。さらに5つのリーグに分かれる。

  • 小型ロボットリーグ 卓球台とほぼ同じ大きさのフィールドで、直径18センチ以内に入る小さなロボットが5台以内でチームを組み、オレンジ色のゴルフボールを使って対戦する。フィールドの天井にはカメラがあるので、プレイにはその画像を使うことができる。


  • 中型ロボットリーグ 卓球台9台分の大きさのフィールドで、直径50センチ以内に収まるロボット4台でチームを組み、オレンジ色のサッカーボールで対戦。こちらは、各ロボットがカメラを自前で持ち、互いに通信で連携しながらプレイする。以前はフィールドの周囲に壁があったのだが、昨年の大会ではその壁が取り払われ、位置を示すためのポールだけになった。そして今年の大会では、コーナーポスト以外のポールも取り払われた。


  • 四脚ロボットリーグ おなじみAIBOが4対4でゲームを行なう。いまのところ、まがりなりにも「足」でサッカーのプレイができるのはこれだけだ。


  • シミュレーションリーグ コンピュータのソフトウェア同士の戦い。11対11で戦う。各プレーヤーには体力、速度といったパラメータがある。実機がないだけに、最も高度なサッカーができる。地味だけど面白い。


  • ヒューマノイドリーグ 昨年から始まった「2足歩行ロボット」によるリーグ。将来は、このリーグが発展して(他のリーグでの研究成果もここに投入されて)、ロボット対人間のサッカーを実現させることになるわけだ。とはいっても、まだ始まったばかりなので、実際のサッカーはできない。また、このリーグに限りまだ「自律型」でないものも許される(ハンディキャップは付く)。実際に行われるのは次の競技だ。

  • 歩行:ロボットの身長×5の距離を往復する時間を競う
  • ペナルティキック:キーパーをおいてのPK。5本ずつキックしてのゴール数を競う
  • フリースタイル:各ロボットが、自分の特徴を見せるためのデモンストレーション


ジャパンオープン2003には、あのRoboOne組が参戦。期待が高まる

RoboCupRescue

 2001年より始まった分野。災害救助などを想定したレスキュー活動の優劣を競う。2つのリーグに分かれる。

  • レスキューロボットリーグ 模擬的倒壊家屋を用意して、レスキューロボットが、被災者役の人形を発見する速度と精度を競う。


  • レスキューシミュレーションリーグ コンピュータ上に再現された仮想大規模災害空間で、災害時の救助戦略の優劣を競う。


RoboCupJunior

 子供たちのためのリーグ。つまり、ロボカップの次世代の担い手を育てるためのものだ。

  • サッカー 自律型ロボット2対2でサッカーを行う。(日本でいう)小学生を対象としたプライマリークラスと、(同じく)中高生を対象としたセカンダリークラスに分かれる。


  • ダンス ロボットによる自由な創作ダンス。もちろん自律型であることが条件だけど、一緒に人間が踊ってもかまわない。




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