News | 2003年5月8日 00:13 AM 更新 |
ニューオーリンズで開催中のWinHEC 2003会場近くで、Transmetaは記者向けのブリーフィングを開催している。同社はこのWinHECに合わせ、次世代のSmart Displayのリファレンスデザイン開発に向けたパートナー企業のメンバーになったというプレスリリースを発行。次世代Smart Displayでは、Crusoeプロセッサを搭載したリファレンスモデルが開発されるという。
同社によると、次世代Smart Displayのリファレンスデザインで採用されるCrusoeは、0.13ミクロンプロセスのTM5800。製造プロセスがこなれており、十分に高い消費電力/パワー比を実現できるためという。またSmart Displayのために、TM5800のデザインを90ナノメートル世代に縮小する計画も持っていないという。
Smart Display向けにはMIPSやARMなどの、組込用RISCプロセッサの方がフィットするのではないか?との質問に対しTransmeta担当者は「次世代Smart DisplayではMPEG-2/4あるいはWindows Media 9 Seriesといった、DVDクオリティの高品質ビデオもサポートされる。確かにRISCベンダーたちはシステム回路を統合したチップを持っており、われわれは持っていない。しかし、次世代Smart Displayに要求される高品質の処理を行いながら、さらに性能的な余裕を持てるのはわれわれの方。われわれの製品は300MHzから1GHzまでスケールし、よりフレキシブルなアプリケーションの開発が行えるようになる」と答えた。
一方、このところの定番となっているTM8000のデモも行われた。デモシステムの外観は以前と全く同じものだったが、実装されているチップは以前よりも新しい製造プロセスを採用したものだという。パフォーマンスや消費電力を含め、新たに明らかにされた公式情報はなかったが、非公式ながら以下のことが今回、判明している。
デモシステムのクロック周波数は1.06GHz。最終製品ではより高いクロック周波数になるとのことだが、過去に行われたモバイルPentium 4-M/2.4GHzとの比較デモ(TM8000の方が高速に動作する)も、同様のクロック周波数で行われた可能性が高い。またデモシステムのメインメモリは480Mバイトと表示されることから、32MバイトのCMSキャッシュが割り当てられているようだ。
またTM8000のTDPに関しては「まだ公表できる段階ではない」(マーケティングディレクタのMichael DeNeffe氏)とのことだが、従来の7ワットTDP(1GHz版は10ワット)程度の製品から25ワットレベルまでの製品を技術的には提供できるという。実際に、どのようなTDP枠を設定するかについては言及しなかった。
TM8000の出荷時期についてDeNeffe氏は「9月になる。すでに何社かのパートナーが開発を行っており、第3四半期にはTM8000を搭載する最終製品が日本と台湾のベンダーからリリースされる見込み」という。フォームファクタに関しても、小型PCから通常の2スピンドル、3スピンドルクラスに至るまで、さまざまなタイプが計画に上っているとか。
日本のいくつかのベンダーは、Crusoe搭載機の後継機種を予定していないが?との質問に対してTransmeta広報担当者は「確かにいくつかのOEM先はインテルにスイッチするが、われわれとのパートナー関係がなくなったわけではない。時期は言えないが、共同でTM8000ベースの新しいデザインに取り組んでおり、いずれは市場に投入されるだろう」と楽観的な見通しを語った。
[本田雅一, ITmedia]
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