News 2003年5月13日 07:24 PM 更新

GeForce FX 5900は、演算ユニット「増量」で打倒RADEON 9800 PROを目指す(1/2)

WinHECのキースピーチで先行発表されたNV35「GeForce 5900」シリーズ。日本でも製品発表会が開催され、スペックとパフォーマンスに関する詳細な説明が行われた。NV30「GeForce FX5800」シリーズで失った、パフォーマンスアドバンテージと流通に対する信頼。NVIDIAはGeForce FX 5900で取り戻せるだろうか。個別取材では、カノープスなどのハイエンドベンダーが望む「自由な基板レイアウト」の可能性についても言及した

 NVIDIAは、5月13日に同社の新しいハイエンドビデオチップ「GeForce FX 5900」シリーズを発表した。3月に行われたGeForce FX5600/5200の発表会ではFX5800シリーズも含めた「GeForce FXファミリー」という紹介をしてきたが、今回の発表会ではFX5800が姿を消し、ハイエンドラインはFX5900に置き換えられていた。「FX5800シリーズはFX5900シリーズへ徐々に置き換わっていく」とNVIDIAのデクストップGPU担当シニアプロダクトマネージャー Steven Sims氏は述べているが、5800シリーズの早すぎる終焉について「5800シリーズは十分に生産された。担当した開発チームも予定していた期間が過ぎたので解散し、次のミッションに携わっている」と、FX5800シリーズのプロジェクトは予定通り順調に進んだことを強調していた。


発表会で展示されたGeForce FX 5900リファレンスビデオカード。小ぶりになった冷却機構と、びっしりと並べられたコンデンサが印象的

 GeForce FX 5900シリーズは、ハイエンドのGeForce FX 5900 Ultra、ミドルレンジのGeForce FX 5900以外に、バリューレンジのGeForce FX 5900 Value(製品名は仮称)が用意され、ほかのシリーズとは異なる3ライン体制となっている。

 FX5800の後継ではあるが、ハイエンドのFX5900 Ultraの動作クロックはコアクロック450MHz、メモリ駆動クロック425MHzとFX5800よりも低く設定されている(なお、NVIDIAによると、FX5900とFX5900 Valueの動作クロックは現在確定していない)。クロックが下がっている代わりに、FX5900ではサポートする機能や内部アーキテクチャを変更することで、パフォーマンスのアップを図っている。

 メモリ周りにも変更が加えられた。FX5800では128ビットだったメモリインタフェースは256ビットに拡張され、メモリ帯域がFX5800の16Gバイト/秒からFX5900で27.2Gバイト/秒へと、約75%アップしている。


FX5800とFX5900のスペックを比較。クロックが下がったが、メモリバス幅が256ビットに拡張されたことでメモリ帯域を拡張。CineFXエンジンも2.0にバージョンアップされた。PixcelShaderとVertexShaderはFX5800と同じ2.0+をサポートする。


プロセスルールはFX5800と同じ13ナノメートル。ビデオメモリはFX5900 UltraでDDR2、FX5900でDDR1/DDR2をサポートする。ただし、初期投入製品はDDR1を搭載。DDR2搭載製品の登場時期については「現在未定」(Sims氏)


NVIDIA資料によるRADEON 9800 PROとのスペック比較。動作クロック、メモリ帯域、フローティングシェーダ演算処理数など、「いいことずくめ」のFX5900。FXシリーズの弱点といわれている、高負荷時におけるパフォーマンスの落ち込みがどの程度改善されているか期待したいところだ


NVIDIA資料によるRADEON 9800 PROを1としたFX5900 Ultraの相対パフォーマンス。ゲームベンチで測定しているが、1600×1200ドット、4xFSAA、8X AnisoとFXが苦手とする高負荷状態でRADEON 9800 PROを上回るパフォーマンスを出している。FX5900 Ultraのドライババージョンが43.80となっており、ベンチマークをDetonator FXで行っている可能性が高い

 GeForce FXシリーズでは、シネマチックコンピューティングを実現する「Cine FXエンジン」を実装し、PixcelShader、VertexShaderなどの処理を行っている。FX5900シリーズでは、このエンジンのバージョンが2.0となり、PixcelShader 2.0関連の処理テストでパフォーマンスが従来の2倍に向上している。報道陣から、この理由を質問されたNVIDIAは「実装している演算ユニットの数を2倍にした」と説明。さらに1ユニットの演算精度に関しては「16ビットと32ビットのモードを持っていて、処理に合わせて自由に切り替えることができる」(エヌビディア PCビジネスシニアマネージャ 東正次氏)と回答した。

[ITmedia]

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