News 2003年5月13日 07:41 PM 更新

GeForce FX 5900は、演算ユニット「増量」で打倒RADEON 9800 PROを目指す(2/2)


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CineFXエンジンは2.0にバージョンアップし、PixcelShader処理能力は従来の2倍に改善された。これは「演算ユニットをFX5800の2倍にしたため」(Sims氏)。ユニットの演算精度は「切り替えによって16ビット、32ビットと自由に設定できる」(Sims氏)

 また、FX5900シリーズでは「UltraShadow」と「Intellisample HCT」の2つの機能が追加された。UltraShadowは、陰影に関わる処理負荷を軽減させ、描画演算速度を改善させる工夫。処理する奥行きを設定し、さらに視点から隠れて見えない部分の「演算不要領域」を求めることで、演算回数を削減する。

 Intellisample HCT」はFX5600シリーズでもサポートしているIntellisampleに高解像度圧縮技術(HCT)を加えたもの。NVIDIAは、この機能によってアンチエイリアシングの描画品質が向上するとしている。


UltraShadowは、ハードウェアで認識できるZ軸を使い、描画する奥行きを指定(図でzminiからzmaxで指定されているdepth boundsの領域)し、それ以外の陰影判定演算は行わない。この処理によって演算処理数が減少し描画処理速度が向上する

 NVIDIAの統合ビデオドライバ「Detonator」はFX5900の発表に合わせて「Detonator FX」が新たに登場。NVIDIAのWebサイトから5月14日からダウンロードできるようになる予定だ。NVIDIAはDetonator FXを使うとFXシリーズのパフォーマンスがDetonetor 43.45より最大40%程度向上するとしている。

 東氏によると、WHQLを取得したDetonator 45.51とDetonator FXは別なもので、Detonator FXがWHQLを取得しているかについては、現在米国本社に確認中としている。


Detonator43.45とDetonator FXにおけるパフォーマンスの相対評価。グラフのY軸範囲が0.75から1.5なので、実際の向上幅は10〜40%であるのに注意。43.45は描画精度を落としてパフォーマンスを向上させた、と言われている(ちなみに43.45はWHQLを取得していない)が、それを上回るパフォーマンスをDetonator FXは発揮している

 FX5800シリーズの冷却機構「FX Flow」は、その発する轟音で一躍有名になったが、FX5900シリーズの冷却機構はそのフォルムを一新している。アクリル製フードはなくなり「内部循環を効率よくおこない、その分、吸気量を減らした」(東氏)といった改造で発生する騒音を抑えられたとしている。

 ただし、発表会では動作するビデオカードが用意されていなかったため、実際の音を確認することはできなかった。


アクリルのフードがなくなり、ダイとメモリをヒートシンクでカバーする。ファンはシロッコタイプのものを使っているが、ファン厚はかなりある


FX Flowほど大仰ではなくなったものの、熱容量を確保するためか、かなり大型のヒートシンクとなっている。そのため、FX5900もブラケット2つ分を消費するサイズとなっている

 発表から製品出荷まで時間のかかったFX5800は、その出荷量の少なさから「幻ビデオカード」と称されたが、はたしてFX5900は順調に出荷されるだろうか。NVIDIAによると、FX5900 Ultra/FX5900 搭載ビデオカードは6月中に出荷が予定されている(FX5900 Valueの出荷は数か月先になる予定)が、細かい日程などは現在調整中としている。

 発表会に出席していたビデオカードベンダーに対して個別に確認したところ、こちらにも出荷スケジュールは提示されていない模様だ。


NVIDIAはビデオカードを販売しないので、「搭載ビデオカードの価格に関して決定することはない」(Sims氏)が、予想される実売価格として、FX5900 Ultra搭載製品が499ドル、FX5900搭載製品で399ドル、FX5900 Value搭載製品で299ドルという価格を示している。FX5900 Ultraはビデオメモリを256Mバイト実装して登場する予定だ

 なお、カノープスなどの「自由な基板設計」を望んでいるハイエンドビデオカードベンダーに対して、チップのみを供給する可能性について、東氏は「リファレンスボードへの実装を条件にチップを供給する方式は基本的にこれからも継続する」と、従来の方式によるチップ供給を続けるとした。これは「技術力のないビデオカードベンダーが適当に設計した場合でも、製品に関するクレームはすべてNVIDIAにきてしまうため」というのが主な理由。

 交渉次第で基板設計をベンダーに任せる余地はあるとしながらも、「実際にNVIDIAが認める可能性は限りなく低いだろう」と、仮にカノープスなどの技術力と実績があるベンダーでも認めていかない方針を示唆した。

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