News | 2003年5月15日 12:28 PM 更新 |
「社長就任からの1年、大いなるチャレンジの年だった」。任天堂社長の岩田聡氏はそう話した。
チャレンジとはもちろん、任天堂を巡るビジネス環境の変化だ。岩田氏は「GAMECUBEは思ったような売り上げを達成することができなかった」と、現状を謙虚に受け止めた。その後、さらにソフトウェアタイトルの不備やライバルの登場といった要素にも言及している。
その発言には、“強気”のイメージが強かった任天堂の面影はない。しかし、決して弱気というわけではなさそうだ。
「ほとんどの人は仕事や学校、家庭での行事に忙しい。しかしコアゲーマー向けのゲームは多くの場合、技術を磨いたり、ゲームをクリアするのに、非常にたくさんの時間が必要。手軽に楽しく遊べるわけではない。われわれは、誰もが手軽に遊べるゲームタイトルをリリースできるよう、開発部門の強化を行う」と話した。
岩田氏によると、これまで京都にしかなかった自社の開発部門を東京にも設置し、京都と東京のコラボレーションでファーストパーティタイトルの開発を行っていくという。
またゲームボーイアドバンスとGAMECUBEを接続することで、より魅力的なゲームを開発。ゲームボーイアドバンスの高い人気をテコにGAMECUBEの普及を促進するほか、18歳以上の高年齢層向けコンテンツにこれまで以上に注力する。
任天堂はこれまで小学生を中心とする低年齢層にビジネスをフォーカスしてきたが、岩田氏によるとGAMECUBEユーザーの40%が18歳以上なのだという。コアゲーマー以外をフォローしつつ、高年齢層にも受けのいいタイトルをリリースする。会場ではコナミの「メタルギアソリッド」が、GAMECUBE用タイトルとしてリメイクされることが発表されている。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が携帯型プレイステーション「PSP」の開発表明を行ったことについても「その話は私も、今朝聞いたばかり。いろいろな機能を詰め込んだソニーらしい製品だとは思う。しかしわれわれは携帯型ゲーム機市場でほぼ100%のシェアをすでに持っているし、PSPは来年末まで発売されない。今、あわてて何かの対策をするつもりはない。ただ、われわれも同じ場所にとどまっているわけではない」とコメントした(関連記事)。
また、現世代のゲーム機市場前半戦での苦戦を認めた岩田氏だが「まだ戦いは終わったわけではない。本当の戦いはこれから。またGAMECUBEの次の製品に関しても現在鋭意開発中だ」と、強気の側面も見せた(関連記事)。
他プラットフォームで注目されているネットワークゲームにGAMECUBEが対応していないことに関しても「これだけ多くのネットワークゲームが登場しているのに、なぜ大儲けしている人がいないのか。私は(現在の)ネットワークゲームのビジネスモデルには、大きな欠陥があると考えている。毎月料金を徴収せず、売り切りでネットワークゲームを提供できないかを現在研究しているところだ」と、あくまでも独自路線で行くことを強調した。
[本田雅一, ITmedia]
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