News | 2003年5月19日 09:27 AM 更新 |
どうもPentium IIIの1GHzが登場したあたりから、デスクトップPCというのはやたらとうるさくなったような気がする。その原因はケースでも電源でもなく、CPUファンだ。
IntelとAMDの熾烈なクロック競争の代償として、いつの間にかCPU面積を超えるような巨大ヒートシンクが当たり前になり、そいつを強力なファンでバリバリ冷やさなければならないというのがCPUの常識となった。
そのアンチテーゼとして静音ブームが起こったと考えるのは、妥当だろう。CPUをクロックアップして使うのが趣味?の人にとっては、放熱のためのファンノイズは耐えなければならない試練、というよりもむしろ快感に近いようなところがある。
しかしノーマルクロックで使えばいいや、と思っている人にとっては、盛大なファンノイズは迷惑以外の何者でもない。今後PCはデスクトップからノート中心にシフトするというのは多くのアナリストの指摘するところだが、デスクトップ衰退の要因は場所を取るだけでなく、「うるさい」ことも多分にあるように思う。
今この原稿を書いているのは、Pentium 4/1.7GHzの自作デスクトップPCだ。クロップアップなどは行なっていないが、ご多分に漏れずCPUのファンノイズがうるさい。
そこで先週あたりから意を決して静音化に挑んでおり、ファンレスCPUクーラーに載せ替えたり、ケース内に消音素材の内張りなどやってみたが、さすがにファンがないとCPU温度が80度近くにまでなってしまうので、結局それに大型低回転の静音ファンを乗っけてしのいである。
静音化に対する取り組みは、今まで自作ユーザーが自分たちのリスクの範囲内で行なってきた。しかしメーカー製デスクトップでも、静音化が新しい目玉になるという動きが徐々に出てきている。先日発表になったNECの水冷式デスクトップ「VALUESTAR FZ」(関連記事)など、その好例だろう。
うるさい仕事場をどうするか
騒音の一般的な指標として、「静かなオフィスで50dB」という数値があるが、いまどきのオフィスでそんなに静かなところがあるのだろうか。営業職など対人関係の仕事では、人が沢山いればその分だけうるさくなって当たり前だろう。
しかし研究・開発職などもそうだろうが、ある程度自分と向き合うような時間が長い仕事では、自分の考えていることにいかに集中できるかが勝負になってくる。
筆者は比較的ほかのことに気を散らしやすいタイプなので、他の人が立ち回るオフィス内や、窓の外からのノイズ、PCの「ゴー」というファンノイズの中でも集中して仕事ができるという人がうらやましい。このコラムでも仕事中はサラウンドで音楽をかけっぱなしにしていると書いたことがあるが、それは周りのノイズをマスキングするためでもある。
しかしそんなあがきも、家人がいないときに限る。3時半を過ぎ、4年生の娘が友達数人を連れてくると、コーヒーをススって「ダバダー」とくつろげる平和なひとときは終わりを告げ、わが家は混沌と阿鼻(あび)叫喚の“ちまた”と化すのである。それでも原稿は書かねばならぬ。
そういう時に筆者が愛用しているのが、ノイズキャンセリングヘッドフォンである。普通のヘッドフォンとの違いは、リスナーの周囲の騒音を消してくれるという機能を持っているところだ。
どういう構造かをおおざっぱに説明すると、ヘッドフォン部分にマイクが仕込んであり、これで周囲のノイズを拾う。この拾ったノイズの逆相信号を出力に混入させることで、ノイズ成分のみを打ち消すのである。最近ではこの手の製品も次第に認知度が高まってきているが、意外にもZDNet内では言及されたことがないようだ。
ノイズを拾って消す
筆者の記憶では、この手のヘッドフォンでもっとも古いのは、ソニーのMDR-NC10およびMDR-NC20だろう。知り合いのイラストレーターに、仕事に集中できるから試してみればと勧められたのだ。1995年暮れのことである。
NC10はインナーイヤー型、NC20はオーバーヘッド型で、両方とも実売価格は1万円程度だった。物好きな筆者は、すぐに両方とも買った。
NC20のほうは装着感があまり良くなくて使わなくなったが、NC10の方は気に入ってずいぶん使い続けた。最近になるまで同じような製品がなかったので、壊れては同じものを買い換え、結局現在所有するもので3つ目である。
ただこれも、万能ではない。耳栓のように耳の穴にギッチリ入って耳の穴を広げるような格好になるため、長時間使用すると耳の穴が「凝る」。
また遮音性の高さのため、人に呼ばれても全然気が付かない。仕事の息抜きにとこっそりエロサイトをご訪問中に仕事部屋のドアがスパーアァンと開いて、「メシだっつってんだろゴルァ!」と家内に怒鳴り込まれた時は、口から心臓吐いちゃうほど驚いた。
[小寺信良, ITmedia]
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