News | 2003年5月20日 08:59 PM 更新 |
ジュニアサッカーリーグ
ロボカップジュニアは次世代を担う子供たちのための部門だ。なんていったって、ロボカップが目標と掲げるのは「西暦2050年までに、人間のサッカーのワールドカップ優勝チームに勝てる自律型ロボットのチームを作ること」だ。少なくとも2050年まで研究者を育てていかなくてはいけないのだ。そのために、いまから「ハマる」子供を探すことは重要だ。
ジュニアは、ジュニアサッカーリーグと、ジュニアダンスとの2つのリーグに分かれる。ジュニアサッカーリーグは、122×183センチのフィールドで、2対2で対戦するサッカーだ。もちろんロボットは自律式であることが求められる。試合が始まったら、人間はプレイに関与することはできない。
ハードウェアとしては、レゴの「MindStroms」やイーケージャパンの「Soccer Robot」を用いたものが多いようだが、センサーの取り付け方などには設計者の工夫が求められるし、ソフトウェアは全部書かなきゃいけない。
このリーグは、12歳以下の「プライマリー」とそれ以上の「セカンダリー」の2つのクラスに分けられ、それぞれで優勝を争う。今回はプライマリー14チーム、セカンダリー36チームが参加した。このなかから、まず予選リーグで、プライマリーは8チーム、セカンダリーは16チームが決勝トーナメントに進むのだ。
参加者は、ロボットを作って対戦すればいいだけではない。ポスター展示の形で「プレゼン資料」を作らなくてはいけないのだ。
これが、かなりよくできている。ジュニアリーグの始まった最初のころは、まだ模造紙に自分の写真を貼って「がんばります」って描いたような、それは資料じゃないだろっていうのが多かったりしたんだそうだけど、今はそれは少数派だ。みんな、自分の「ロボット」の写真と、その能力のアピールがちゃんと書いてある。
中でもすごいと思ったのは、プライマリーの「RISE-FORZA A」のものだ(*1)。ロボットはMindStromsで作られているのだけど、フォワードマシン、キーパーマシンそれぞれについて、その動作原理、プログラミングの解説までちゃんと入っている。小学生でこれだけ「ドキュメント」が書けるというのは大したものだ(*2)。
と、思っていたら、このチーム、プライマリーで優勝である。なるほど、あれだけドキュメントが書けるなら強いわけだ、と思わず納得してしまった。試合風景をうまく撮影できなかったので(*3)、記念撮影(*4)。
一方、セカンダリーリーグは、やはりRISEの「RISE-FORZA S01」と「BLACK BOX」との決勝となった。「BLACK BOX」は、背中にシャープのポケコンを積んだオリジナルマシンだ。
試合は1−1のまま前半後半終了。Vゴール方式の延長戦に入る。しかし、それでも決着がつかない。このときは、それぞれがキーパーマシンを外して1対1での戦いをするのがルールだ。開始直後、ボールをキープした「BLACK BOX」がそのまま身体ごとシュート。戦いに決着をつけた。
ジュニアダンス
名前の通りダンス競技。自律式ロボットを躍らせて、その技や芸術性を競うというもの。ロボット以外に背景などの大道具を使うのも構わないし、人間が一緒に踊り出したっていい。
このリーグには10チームが参加。こちらはクラス分けはない。小学生から高校生まで同じ土俵で戦うのだ。審査員は7名。「プログラミング」「構成」「衣装」「振り付け」「創作性(新規性)「独創性」「エンターテインメント性」の各項目について各々10点満点でポイントを付け、合計点で争う。
この競技は5月5日の午後のまとまった時間に行われたので、その全部をしっかり見ることができた。これが、おもしろいの。メッセージ性を持たせたもの、芸術性を高めたもの、思いっきりエンターテインメントに走るものなどいろいろ。
ロボットが不調で動かなくなったために、人間だけが踊る羽目になって、でも大受けしていたチームもある。動かなかったのは残念だけど、そこで踊り出したのはえらい。将来プレゼンテーションなどするときには、そういうマシントラブルはちょくちょくあるだろうが、そのときには、今回踊ったことが役に立つだろう。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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