News | 2003年5月20日 08:59 PM 更新 |
ちょっとだけ残念なのは、既存のキャラクターに寄りかかったものが多かったってこと。そういうのって、ここで紹介したくても、できないのだ。例えば、「モンスター甚句」っていうのは、題名からしてなかなかうまいシャレになっているんだけど、もう、思いっきり紹介できない。ようするに、Pixerキャラが新潟甚句を踊るのである。
というわけで、「猫又」チームの、神あそびをイメージした舞。ベストドレッシング賞(つまり衣装が最高)をとった作品。
そして、グランプリは「チームHori」。ロボットはラインセンシングをするという技を使っているんだけど、でも、傘をもって踊る彼のインパクトのほうが強かった……。やっぱりキャラは使っているんだけど。
去年、福岡で行われた世界大会では、ジュニアの参加者もそれ以外の参加者と全く同じ資格のバッチをもらえてた。自由に研究者空間を歩き回って、小型や中型の研究者と話し合っている風景なんてのが見られたのだ。
でも、今回は、ジュニアの日程がタイトだったり、競技場が中型と入れ代わりだったりしたこともあったりして、交流はそれほど行われていなかった様子だ。これもちょっと残念。
シミュレーションリーグ
ジュニアをはなれて、再び大きい研究者のリーグの話。このリーグは実機がない。立に情報を集め(見える範囲に限りがある)、独立にプレイすることが求められている。神の視点の監督プログラムがプレーヤーを手足のように走らせるということは許されていないのだ。
さらに、各プレーヤーには走力や体力などのパラメータもあり、ゲーム後半になってくると疲れてくるという現象も発生する。試合はサーバマシンの中で行われ、レフリーもプログラムによってなされる。人間はスクリーンに表示される○や●を見るだけなのだ。
一見とっても地味なんだけど、実は面白い。ハードウェアの制約がないから、プレイそのものは完全にサッカーになっているのだ。フォーメーション、ディフェンス、攻撃スタイルなど、人間のサッカーを見るのと同じ感覚で見られるのだ。
昨年の世界大会では、小学生の観客が野次を飛ばしながら観戦するという風景さえ見られた。人間のワールドカップのおかげで、○や●によって解説されるサッカーをテレビで見慣れているってこともあったんだろうけど(*5)。
ところが、今回の大会には、そのことが十分伝わらなかったみたいだ。少なくとも予選の間は、観客に見せるということはほとんど考えられていなかったように見受けられる。大スクリーンに○や●は表示されているのだけど、観客席というものがないので、それを立って見ていなきゃいけない。これはつらい。
一見地味であるから、これが面白いってわかるまでには、ある程度スクリーンを見ている必要があるのだ。去年の場合は、スクリーンの前にイスが並べられていたから、休むつもりでそこに座ってスクリーンを見ているうちにひきこまれているというような構図が発生したんだけど、今年はそれがない。
状況が変わったのは「YowAI2003」(電気通信大学) vs 「HELIOS2003」(東京工業大学)の決勝戦だ。イス席ができたわけじゃなくて、実況を森下英矢さんが行ったのだ。
新潟の「お笑い集団NAMARA」に所属し、J2のアルビレックス新潟戦での場内MCも行うという、そして中型リーグ決勝の実況も行った、あの彼である(*6)。
彼は、「サッカーの実況」をやった。まず、フォーメーションが両チームともに4-3-3であることを見抜く。そこから、解説の先生の「YowAIは攻撃が強いのでフォワードは3人で十分ということで、4-3-3。HELIOSは守備重視の4-3-3。」という言葉を引き出す。このあたりで、もうなんだか面白そうな気がしてくる。足を止める人も増えてくる。
試合が進むにつれて、HELIOSはラインディフェンスだけど、YowAIはそれを崩してくるという違いに注目し、そのあたりからシミュレーションリーグの特性みたいなことを引き出してくる。一般に日本のチームはディフェンス重視なところが多いとか、今回のYowAIは中央突破を図ることが多いのでHELIOSはその対策をしてきているとか、わたしはここで知識を得た。
試合は、前半5分を終わって0−0。ハーフタイムに調整をすることは許されているのだけど、今回は両チームともそれは不要ということで、すぐに後半5分に突入。
YowAIが押し気味に試合を進めるのだけど、HELIOSもよく守る。4分、HELIOSはチャンスを作って攻め上がるが、攻めきれず逆襲を許す。ここで、いままでだったら戻れていたディフェンスが戻りきれない。疲れができてきていたのだ。ついにYowAIが得点。
これが決勝点となって、YowAIが勝利。チャンピオンとなった。やっぱり、ちゃんと見れば面白いのだ。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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