News | 2003年6月2日 09:45 PM 更新 |
新しい製品を取り上げるとき、多くの場合「次期携帯電話」や「次期ゲーム専用機」など「次期〜」に続く言葉が存在するが、PSXは、どんな言葉を当てはめればいいのか分からないほど、機能が盛り込まれている。
久夛良木健ソニーグループ副社長が述べた「魅力ある家電製品」がPSXの最終目標としても、より具体的な役割については「家電で想定されるあらゆるメディアの再生プレーヤー」(久夛良木氏)を想定している。
テレビチューナーを搭載し、DVD-Videoも再生。もちろんネットワークに存在する音楽データ、映像データにもアクセスできる。ゲームだって「エンターテイメントメディア」なんだから、ゲームで遊んでいても「メディアプレーヤー」の一種といえるのだろう。
120GBのHDDとDVD±RWドライブでデータの保存もOK。ゆくゆくは「ホームサーバ機能を持たせる」(久夛良木氏)構想であるが、持っているインタフェースとデバイスを考えれば、それほど無理難題というわけでもない。
ホームユースにおけるあらゆる機能を盛り込んだPSXだが、それだけでは何にも出来ない。当然、表示用と入力用のデバイスが必要だ。どちらについても、はっきりとした仕様は出ていないが、デモンストレーションで、久夛良木氏はWEGAに接続したPSXを「ビデオのリモコンのようなもの」でコントロールしていた。
PSXをテレビと接続して、ゲームコントローラ(それはワイヤレス接続)で操作する。おや、これでは、今とそれほど変わらない。とくにテレビとPSXの組み合わせには、いくつかの疑問が出てくる。
なんといっても「テレビと接続するならテレビチューナーは必要なの?」。あまりにも単純すぎる疑問で、なにか重要な話を見落としていそうな気がしてしょうがない。こうして書いていても、お尻が「むずむず」してしまうのだが、今のところ、これに関するコメントは、どこにも見当たらない。
「背面のレイアウト予定」を見ると、一見VGAらしきコネクタも見受けられる。高解像度表示可能な専用ディスプレイ、という可能性も考えられる。しかし、今年末に発売を予定している「家電」ならば、テレビを表示デバイスにしないと家庭内大量普及は望めないだろう。
テレビが表示デバイスならば、PSXでアクセスするインターネットの役割はなにか。Webページを閲覧するにはテレビの解像度は低すぎる。テレビを利用したWeb端末がいずれも失敗しているのは周知の事実。Webサービスが使えないなら、利用できるメディアサービスも限られてくる。ネットワーク対戦だけがインターネットの存在理由なら、PSXはPS2の延長に過ぎない。
では、PSXとセットになる高解像度ディスプレイが登場するのか。頑なに「ノーコメント」だったPSXの価格だが、PS2のベースにDVD±RWドライブ、120GBのHDD、テレビチューナー付きのハードウェアMPEG-2エンコードユニット(テレビチューナーユニット、ビデオエンコード方式についてもコメントはない。しかし、ベースのパフォーマンスを考えると、ハードウェアエンコードの可能性は高い。また、社内調達という線から考えると、バイオノートの夏モデルで採用されたGiga Pocket Engine Mというちょうどよいデバイスが存在する)などなど、「特別謝恩価格でも10万円?」という価格が見えてくる。
10万円を切るか切らないかという家電に、高解像度液晶ディスプレイがセットにできるだろうか。それは難しい相談だ。映画再生で求められる大画面と、ネットワークで求められる高解像度は両立しない。
もしPSXが「ネットワーク対戦ができて、DVDプレーヤー機能が使いやすい」だけならば、それは「魅力ある家電製品の創出」というより「拡張発展版PS2」になってしまうと思うのだが。
[長浜和也, ITmedia]
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