News:アンカーデスク | 2003年6月16日 03:22 PM 更新 |
SMSは、かつてその時代の音楽にかぶれたイイ年のオッサンにしてみれば、たまらなく面白いツールだ。なにせ中学・高校時代に聞いた音楽を、現代のテクノロジーで、記憶にある「あの音」に仕立てることができるのである。
これをハイクオリティーのまま聴くには、バイオ本体が必要だ。しかしRZ62一式を抱えて電車に乗るわけにも行かない。てか電源とかどーするんだ? いや根本的にそういう問題じゃないな。
この問題を解決するためにSMSでは、24ビットのクオリティーを落とさずに16ビットのデータに落とし込む技術として、これまたプロの現場で使われている「Super Bit Mapping」という機能が搭載されている。
SMSでマスタリングしたデータを音楽CDに焼く際にこのSuper Bit Mappingを使えば、24bitクオリティーの音が普通のオーディオ機器でも楽しめるというわけだ。
これらのクオリティーを実現しているのが、すべてプロ用の技術であることは間違いない。しかし使っていくうちに、それ以外の部分で課題があることがうすうすわかってきた。
足を引っ張るのは何か
SMSを買って……違うな、バイオ RZ62を買って筆者が最初にやりたかったのが、CDのリマスターだ。これを最初は、CDをバイオ付属のジュークボックスソフト、SonicStageでWAV形式にリッピングして、それをSMSにアップサンプリングして取り込む、という手順で行なっていた。
しかしそこに素朴な疑問がわいたのである。良いアナログ出力を、UA-5経由「96kHz/24bit」でアナログサンプリングしたのとどっちがいいのか?
そこで同じCDを2つの方法で取り込み、聞き比べてみた。結果は、圧倒的にアナログサンプリングのほうが上質だったのである。
アナログサンプリングの場合、再生プレーヤーにクセがあれば、その音になってしまうというデメリットもある。しかし問題はそこではなく、SonicStageでリッピングしたWAVファイルのほうが、はるかにS/Nが悪かったのだ。
これはいろいろと考えさせられる結果だ。この原因を追及するにやぶさかではないので、またこの点については言及する機会もあるだろう。
またSMSのソフトウェア内部でも、クオリティ的にちぐはぐな部分がある。それが最も顕著なのが、ノイズリダクション部だ。まずヒスノイズ除去機能だが、確かにヒスは取れる。しかしそれと一緒に音楽のオイシイ部分もかなり持って行かれてしまう。音質が変わってしまうのはイタイ。
LPレコードからの取り込みに関しては、ヒスノイズが問題になることはないため、この機能はあまり使わなくて済むのは幸いだ。しかし今度は「プチノイズ除去」が必須である。これはこれでまたしんどい。
[小寺信良, ITmedia]
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