News | 2003年6月16日 03:49 PM 更新 |
Texas Instrumentsは、802.11b無線LANとBluetoothネットワーク用の既存チップにソフトウェアを組み込むことで、携帯デバイスで使われている2つの無線技術の干渉を抑える方法を見つけたと6月16日、発表した。
Bluetoothと802.11bはどちらも2.4GHz帯域の信号を使っており、ベビーモニターやガレージ用自動ドアなどのさまざまな機器にも利用されている。Bluetoothと802.11bを同じデバイスで使うときに、無線のトラフィックをパケットレベルでモニターし、高い優先順位を持ったトラフィックをルーティングしてパケット衝突を防止する技術を開発する必要に迫られていた。TIのWLANビジネスユニット 先端技術担当ディレクターのマシュー・シューメーク氏はそう語る。
ソフトウェアとチップを組み込んだこの「共存」パッケージは、携帯電話、スマートフォン、PDAでの利用を目的としていると、シューメーク氏は説明する。ラップトップコンピュータにもこの技術を使うことはできるが、干渉問題を起こしやすい小型の携帯デバイス向けに開発されたものだという。
「TIはこれまでNokiaの携帯電話向けにBluetoothチップを数百万個出荷しており、WLAN市場でかなりのシェアを獲得した。彼らはこの市場のことをよく知っている」と市場調査会社Forward Conceptsの主任アナリスト、ウィル・ストラウス氏。
Bluetoothは短距離用無線技術で、キーボードなどのPC周辺機器、携帯電話やスマートフォンとワイヤレスヘッドセットの接続に用いられている。802.11b標準はインターネットや企業ネットワーク接続用に、主にノートPCで利用されている。
TIのソフトウェアは、Bluetoothの音声トラフィックに最高位の優先権を与える。音声接続時に雑音が入ったり品質が落ちたりするのを顧客は好まず、クリアな音質を望んでいるからだ、とシューメーク氏。しかし、この優先順位に気付くことはなく、Bluetoothヘッドセットを使いながら802.11bネットワークでメールチェックをしても違いには気付かないだろう、と同氏。
Bluetoothヘッドセットを利用していると、インターネット接続速度が少しばかり落ちているのに気づくユーザーがいるかもしれない。しかし、ほとんどは気付きもしないだろう、とストラウス氏は語る。802.11bネットワークの実効速度は6Mbpsで、たいていの家庭用ブロードバンド接続よりも高速だ。しかし、音声接続で発生する雑音などの問題は誰もが気づくことなので、高い優先順位を与えるべきだと、同氏は説明する。
この製品は第4四半期には一般販売されるが、あるTIの顧客はこの技術を使ったデバイスを9月に発売するという、とシューメーク氏。同氏はそれ以上の詳細については語らなかった。2種類のチップと共存用ソフトウェアの価格は、デバイスメーカーが大量購入した場合には20ドル以下、と同氏。エンドユーザーが直接購入することはできない。
3月にニューオーリンズで開催されたCTIAショウでTIが披露したWANDA (wireless any network digital assistant) に似たものが、この共存技術を使ったデバイスとして、将来リリースされるかもしれない。WANDAはBluetooth、802.11b、GSM/GPRS (Global System for Mobile Communications/General Packet Radio Services) ワイヤレスチップが組み込まれ、このデザインに基づいた製品は第3四半期か第4四半期に登場すると、同社は3月に話していた。
[Tom Krazit, IDG News Service]