News | 2003年6月30日 09:32 PM 更新 |
トラベル通訳端末
旅行英会話の英日‐日英通訳が行える超小型の音声翻訳機の試作機は、独自の音声認識・翻訳・読み上げ技術を統合したもの。パスポートサイズと非常に小さなボディながら、端末に話しかけると瞬時に音声認識結果を表示し、読み上げる。同社は昨年12月にPDAなどで動作する日英自動通訳ソフトを発表しているが、今回の試作機は、同ソフトのアルゴリズムを改良して、翻訳性能を従来比3倍に高めた。
コンセプト機はWindows CE.NETベースで動作していたが、製品版でCE.NETを採用するかは検討中とのこと。音声通訳のほかに、動画再生機能も装備。動画や静止画を取り込むためと、各種通信カードを利用するために、CFカードとSDメモリーカードの2スロットを装備。コンセプト機では、無線LAN経由でCE.NETのWindows Media Player上で動画を再生するデモンストレーションが行われてた。
ノートPC用燃料電池
今年2月の「nano tech 2003」でお披露目されたノートPC用燃料電池も、今回の先進テクノロジーの1つとして紹介された。
カーボンナノチューブの発展形である「カーボンナノホーン」を電極に用いたこの燃料電池は、世界トップレベルの出力密度(40ミリワット/平方センチメートル)を確保。パッシブ型セルの採用で、燃料電池本体の小型軽量化を実現。会場では、メタノール300ミリリットル(濃度約10%)で約5時間の動作が行える重さ2キロのノートPCが紹介された。
この燃料電池は2004年度中に商品化される予定。「商品化時には出力密度を50〜100ミリワット/平方センチメートルに性能アップさせることが目標。燃料電池カートリッジの規格化は、利便性を考えれば必要という意見が業界団体からも出ている。しかし、NECと東芝とではメタノールの濃度が違うなど課題も多く、現在検討中」(同社)
薄型水冷モジュール
同日付けで開発表明も行われたノートPC用の薄型水冷モジュールも紹介された。圧電ポンプ駆動方式を採用することで、水冷ユニットの薄型化が可能になったほか、組み込みが簡単なポンプとタンクの一体化構造は、長期使用時の信頼性も向上させている(技術の詳細は別記事を参照)
新モジュールを搭載したノートPCは、NECパーソナルプロダクツが2年以内に製品化する計画で、NECグループ外へのライセンス供与や同ユニットの外販も前向きに検討していくという。
強化バイオプラスチック
環境への配慮から、微生物によって分解するプラスチック「バイオプラスチック」のPCへの採用が注目されている。今回、紹介された「強化プラスチック」は、非常に成長が早い植物「ケナフ」の繊維を添加することで、バイオプラスチックの強度や耐熱性を大幅に改善したもの。同社では今回の新素材を今後2年以内にPCを中心とした電子機器で実用化していく予定。
「従来のポリ乳酸を素材としたバイオプラスチックに比べ、熱変形温度を約1.8倍に、強度(曲げ弾性率)を約1.7倍に向上させることに成功した」(同社)
新会社の狙い
片山氏は、国内PC市場の動向について「PCの世帯普及率は60%を超え、買い替えや買い増しのニーズが高まっており、リピート購入の促進と中上級者向け商品の提供が重要となっている。また、女性や高齢者などPCの利用者が拡大するに従って、PCの“使いやすさ”も求められている。さらに、短い商品ライフサイクルの中では、受注から販売までのプロセスを把握したうえでのスピーディーな経営判断が必要となっている」と述べ、現在のPCを取り巻く状況が大きく変化していることを強調する。
「カスタマ・イン経営」を掲げて2001年から実施されたNECのPC事業再編は、これまで2期にわたって実施されている。まず2001年10月から行われた第一次構造改革ではカスタマ・イン経営を実践するために、マーケティングと販売を担当するNECカスタムテクニカと、開発・資材調達・生産・保守を受け持つNECカスタマックスを設立して2社分業体制を確立。そして、2002年4月からの第二次構造改革では、カスタマ・イン経営強化のために、中国完成品調達をバリューチェーンに取り込んだ国際水平分業体制を確立。また、2002年7月にはサポートを担当するNECカスタムサポートを設立した。
「CS」「スピード」「シェア」という3項目でナンバー1を奪取し、V字回復を目指す同社。「CSナンバー1」では、CS戦略の立案をマーケティング部門に統合し、サポート業務を1部門に統合するなど顧客リレーション体制の再構築を実施。「スピード ナンバー1」では、従来の2社間の重複機能解消とスピードアップ、国内生産の効率アップを図るなど、事業効率の徹底追求を行う。また、「シェア ナンバー1」では、商品企画力の強化とマーケティング機能の拡大、テクノロジーリーダー商品の国内開発推進など、マーケティング力と開発力の強化を図る。
[西坂真人, ITmedia]
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