News 2003年7月1日 07:41 PM 更新

“ハリポタ”的ドル箱商品は登場する?――Amazon.co.jpでエレクトロニクス製品

Amazon.co.jpが、PC関連機器やAV製品を中心としたエレクトロニクス製品の取り扱いを開始した。充実の品揃え、ウェブショッピングならではの利便性、低価格路線など、書籍やDVDといった“ソフトウェア”販売で実績があるマーケティング手法で、エレクトロニクス製品という“ハードウェア”の販売に挑む。

 アマゾンジャパンは、7月1日から「Amazon.co.jp」において「エレクトロニクス(http://www.amazon.co.jp/electronics/)」ストアをオープン。PC関連機器やAV製品を中心としたエレクトロニクス製品の取り扱いを開始した。

 Amazon.comのエレクトロニクスストアは、すでに米国、英国、ドイツで導入されており、全世界では日本が4番目の導入となる。国内での新規事業立ち上げにあたり、同日都内で記者説明会が行われた。


Amazon.co.jpのトップページ上部のタブにも「エレクトロニクス」が追加された

 2000年11月に、書籍のオンライン販売からスタートしたAmazon.co.jpは、2001年6月に音楽CD、DVD、ビデオの取り扱いを開始。同年10月には、PCソフトとゲームソフトのストアをオープンさせるなど、徐々に商品カテゴリーを広げていった。ただし、これまでAmazon.co.jpで扱う商品は“ソフトウェア”が中心で、“ハードウェア”の販売はゲームストアでゲーム機本体を扱うぐらいだった。

 今回新設されたエレクトロニクスストアでは、デジタルカメラやネットワーク機器、DVDプレーヤー・レコーダーなど12種類の商品カテゴリーに大別されたハードウェアを扱う。


エレクトロニクスストアでは、ハードウェアを12種類の商品カテゴリーに大別

 Amazon.com上級副社長のディエゴ・ピアチェンティーニ氏は「“まずユーザーありき”という、われわれのビジョンは、スタート当時から何も変わっていない。品揃えを充実させれば顧客満足度が上がり、ユーザーが集まってトラフィックが増える。そして、われわれの低コストオペレーションが販売価格にも反映され、ユーザーは安く購入できるようになる。われわれは、このような好循環のビジネスモデルを構築しながら成長してきた」と、Amazon.comのビジネスポリシーを語る。


Amazon.com上級副社長のディエゴ・ピアチェンティーニ氏

 今回のエレクトロニクス製品の取り扱いも、この基本理念に基づいて実施。顧客満足度を満たす必須条件となる“品揃え”は、ソニーや松下電器産業、アップルコンピュータなど主要メーカーを含む数万アイテムが用意されている。

 アマゾンジャパン社長のジャスパー・チャン氏は「本日からスタートしたエレクトロニクスストアでは、200種類以上のデジカメ、60種類以上のビデオカメラ、200種類以上のDVDプレーヤー・レコーダー、350種類以上のプリンタ、140種類以上のスキャナ、170以上のPDAが揃っている」と述べ、品揃えの充実ぶりをアピールする。


アマゾンジャパン社長のジャスパー・チャン氏

 Amazon.comのセールスポイントである「配送料無料」という低価格路線は、エレクトロニクス製品でも健在だ。書籍やDVDなど、従来Amazon.co.jpが扱ってきた商品では、商品総額が1500円以上になると国内送料が無料となるというサービスがあり、これが多くのユーザーに支持されていた。

 エレクトロニクス製品でも「1500円以上は配送料無料」が適用される。また、1回の注文で5000円以上購入の場合、購入金額に応じて最大15%の還元(Amazonギフト券)を行う新サービスも導入。大手カメラ量販店や家電量販店などで導入されているポイント制キャッシュバックシステムに対抗する。

 「われわれは広告にコストを費やさず、ユーザーに商品を低価格で提供するためや、配送料無料のサービスに対してコストを投じてきた。その金額は年間1億ドルに及ぶ」(ピアチェンティーニ氏)

 また、メーカー別や価格帯別など目的に合わせて検索できる「詳細サーチ」「ブラウズ機能」や、ユーザーが選んだ複数商品の仕様を一覧表で比較できる「比較エンジン」、商品の名称・機能・仕様の詳細などをまとめて表示できる「商品データ表示」、ユーザーの購入履歴やクリック履歴に応じておすすめ商品を表示する「パーソナライゼーション」、「関連おすすめ商品」、「ランキング」など、ウェブショッピングならではの機能を持つ。

 「多機能で商品説明が必要なエレクトロニクス製品は、ウェブショッピングよりも対面販売が向いているのではという意見があるが、製品の仕様を比較したり、機能や性能で一覧表示できたりと、ウェブショッピングならではのメリットは多い。また、商品に対するユーザーのコメントが閲覧できる“カスタマーレビュー”も、対面販売にはないサービス。数多くの情報をもとに、さまざまなユーザーチョイスを提供できるのが、ウェブショッピングの利点」(ピアチェンティーニ氏)

 Amazon.comは先週、ハリー・ポッター最新刊によって電子商取引の記録が塗り替えられたと発表した。ハリー・ポッター第5巻『Harry Potter and the Order of the Phoenix』(ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団)の予約部数は6月20日深夜までに130万部を突破し、同社過去最高記録を打ち立てたという。それまでの最高記録も、やはりハリー・ポッター(第4巻)だった。

 今回、Amazon.co.jpが取り扱うPC関連機器やAV製品は、大手カメラ量販店や家電量販店などでもウェブショッピングに力を入れている商品カテゴリーだ。激戦のエレクトロニクス製品で、“ハリポタ”のようなヒット商品は果たして生まれるのだろうか。

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