News 2003年8月18日 07:04 PM 更新

日本HPが「ビックバン2」に相乗りしない理由とは(1/2)

米国HPが大掛かりなコンシューマー向け大戦略を発表したタイミングに、日本HPが発表したAthlon XP搭載デスクトップPCは、従来のd330SFの派生モデルといういささか地味な製品。コンシューマーPC市場は「お休み」するという。日本HPの選んだ戦略の背景にあるものは?

 日本ヒューレッド・パッカード(日本HP)は8月18日、スモールフォームファクターのデスクトップPCでははじめてAthlon XPを搭載した「HP Business Desktop d325SF/CT」(d325SF)を発表した。製品構成はCTO形式でユーザーが決定できるが、最小構成での価格は5万4800円となる。

 本日より、同社のオンライン販売「HP Directplus」、HPコールセンター、もしくは販売代理店である「HP Directpartner」を通して受注が開始される。


HP Business Desktop d325SF/CT

 日本HPには、ビジネス市場向けのスモールフォームファクターデスクトップとして、インテルのCPUを搭載した「d330SF」をすでに持っている。d325SFは、このd330SFで採用していた筐体に、Athlon XPと、それに対応したマザーボードをそのまま搭載したものだ。

 電源ユニットも同じ185Wのユニットが使われている。Athlon XPのマシンとしては、ややパワー不足のようにも思われるが、少なくとも今回半日かけて行ったベンチマーク作業中に挙動が不安定になる状況は発生しなかった。

 d330SFの筐体を流用しているため、内部へのアクセスは非常に行いやすくなっている。レバーや、緑色の取っ手を引くだけで、カバーもドライブベイもベイに固定されているデバイスも、さらにはマザーボードに至るまで工具なしで取り外しが可能だ。


d325SFの筐体内部。グリーンの取っ手を引くだけで、ドライブベイや、ドライブ本体が簡単に取り外しできる

 ただし、これは工場における生産効率向上のため。ビジネス用途が主目的のd325SFでは、自作PCユーザーが真っ先に考えそうな「拡張作業の効率」というメリットはそれほどは重要視していない。技術力の高い日本の工場で生産されるこの製品ではあるが、それでも作業者がパーツの組み込み作業を簡単に行えるように、あえてコストをかけてメンテナンス性の高い筐体を採用しているのだ。

 インテルのラインアップにAMDのバージョンを追加した形になった日本HPのスモールフォームファクターPC。AMDモデルの発売理由は「Athlon XPを搭載することで、価格的に目立たせること」と実に単純明快だ。

 インテルCPUとAMD CPUのすみ分けも、「価格」にあると日本HPは考えている。d325SFの価格はd330SFの最低価格帯のさらにその下に位置する。

 搭載しているCPUがAthlon XP 2400+なので、d330SFの下位モデルであるCeleron/2GHzと比べるとコストパフォーマンス的にはd325SFが優れていることになるので、ある意味、Celeron/2GHzを搭載したd330SFの存在理由がなくなってしまったようにも思えるが、日本HPは販売を継続するという。

 なお、d325で搭載するCPUがAthlon XP 2400+のみである理由については「社内リサーチの結果、最もボリュームが出ると予想されたクロックであったため」と答えている。


Athlon XPを使っているということで、冷却系が気になるところ。騒音に関しては、まったくといっていいほど気にならないほど静かなクーラーとファンを搭載している。問題は熱。手前に見えるスリットがCPUの排熱口となっているが、さほど動作させていない段階ですでに触れないほど熱くなっていた

 CPUにAthlon XPを採用したことで、マザーボードはチップセットにnForce 2を実装したmicroATXマザーを搭載している。DIMMスロットが2基とデュアルチャネルメモリバスをサポートするマザーボードとしては、メモリスロットが若干少ないように思えるが、一方で、VGAを2基搭載して、ビジネスユーザーには重宝されそうな「デュアルディスプレイ」をサポートしている。

[長浜和也, ITmedia]

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