News 2003年8月27日 06:32 PM 更新

シャープ、1ビットデジタルアンプ搭載DVDシアターシステム発表

シャープが、ハイサンプリング対応1ビットデジタルアンプとDVDプレーヤーを搭載したホームシアターシステム「1-BIT PANEL THEATER」シリーズ3機種を発表。同社のオンリーワン技術“1ビットオーディオ”で、ホームシアターオーディオでの「デファクトスタンダード化」を狙う。

 シャープは8月27日、サンプリング周波数5.6MHz対応1ビットデジタルアンプとDVDプレーヤーを搭載したホームシアターシステム「1-BIT PANEL THEATER」シリーズを発表。アンプとプレーヤーが別体になったハイエンドタイプ「SD-HX500」(10月20日発売)と、アンプ一体型プレーヤーにスピーカーをセットにした普及タイプ2機種「SD-PX3」「SD-PX1」(ともに11月14日発売)を新たにラインアップした。

 価格はオープンだが、市場想定価格はSD-HX500が14万円前後、SD-PX3が9万円前後、SD-PX1が7万円前後になる見込み。


ホームシアターシステム「1-BIT PANEL THEATER」シリーズ

 1-BIT PANEL THEATERシリーズの“売り”は、同社が誇るオンリーワン技術「1ビットオーディオ」だ。

 同社独自開発の1ビットデジタルアンプ技術は、アナログ信号を内部で1ビットのデジタル信号に変換し、そのまま伝達/増幅処理を経てスピーカーに送ることにより、音質劣化がきわめて少ない自然でクリアな音質が得られるのが特徴だ。

 今回の新製品では、サンプリング周波数が2.8MHzの従来製品に比べて2倍となる秒間約560万回(5.6MHz)という超高速サンプリングを行うことで、「音の立上りの速さ」「ヌケの良さ」「音の滑らかさ」といった解像度の高いサウンドを可能にした。5.6MHzというサンプリング周波数は、CDの128倍の音の分解能に相当する。

 5.6MHzに対応した1ビットデジタルアンプは、フラッグシップモデル「SM-SX200」などで使われていたが、今年7月に発表したミニコンポ「Auvi(アウビィ)」シリーズでも採用されるなど、1ビットデジタルアンプ全体でハイサンプリング化が進んでいる。

 「サンプリング周波数がさらに高速になった1ビットデジタルアンプの進化によって、時間分解能が飛躍的に向上し、オーディオ信号の変化をさらに正確にトレースすることが可能になった。ハイサンプリングを追求すると、デジタルアンプが“アナログの音”に近づいていく」(同社)


アンプとプレーヤーが別体になったハイエンドタイプ「SD-HX500」

 SD-HX500は、この超高速サンプリングの1ビットデジタルアンプを、迫力ある総合600ワットの大出力に対応にさせたモデル。アンプとプレーヤーが分かれたセパレートタイプの本体は、サイズが351(幅)×205(高さ)×120(奥行き、プレーヤー部は90)ミリと薄型コンパクトで、透明板とアルミパネルを使ったきょう体は、ホームシアター向けに近年普及が進んでいる液晶/プラズマTVといったフラットパネルディスプレイとのデザイン面の相性もよい。このような薄型スタイルが可能なのも、放熱機構など内部システムを簡素化できる1ビットデジタルアンプならではのメリットだ。


高級感ある薄型スタイルが可能なのも、1ビットデジタルアンプならではだ

 プレーヤー部には、DVDビデオだけでなく高音質なSACD/DVDオーディオも再生可能な「マルチディスクプレーヤー」を採用。DVDビデオをチラツキのない高画質映像で楽しめるプログレッシブ回路を搭載しているほか、ガラスエポキシ基板、金メッキッピン端子、バナナプラグ対応スピーカーターミナルなど、高級AV機器に使われる機能/装備が盛り込まれている。

 そのほか、DTS/AAC/ドルビープロロジック IIなどホームシアターシステムに欠かせない各種デコーダーを搭載したほか、各種AV機器を一括してコントロールできる学習機能付きの多機能リモコンを採用した。


各種AV機器をコントロールできる多機能リモコン

 1ビットデジタルアンプ・DVDプレーヤー・デコーダー全てを内蔵したオールインワンタイプに5.1chサラウンドスピーカーをセットにしたのが「SD-PX」シリーズ。ウッドタイプのトールボーイ型スピーカーを採用した「SD-PX3」と、コンパクトスピーカー採用の「SD-PX1」が用意されている。


コンパクトタイプの5.1chサラウンドスピーカーをセットにしたSD-PX1

 スピーカー以外での両機種の違いは、SD-PX3がSACD/DVDオーディオの再生が可能なSD-HX500と同様のマルチディスクプレーヤーを採用しているのに対して、SD-PX1搭載プレーヤーはDVDビデオ再生にのみ対応している点。外観や機能、端子類など、その他の仕様はすべて同じだ。


SD-PX3はウッドタイプのトールボーイ型スピーカーを採用


スピーカーの違いとSACD/DVDオーディオの再生ができない点以外は、SD-PX1/SD-PX3両機種の仕様は同じ

“1ビット”で狙うはホームシアターオーディオでの「デファクトスタンダード化」

 放送のデジタル化やDVDの普及などで、オーディオの世界も本格的なデジタル時代を迎えている。“1ビットオーディオ”で同社が狙うのは、ホームシアターオーディオでの「デファクトスタンダード化」だ。

 「当社オーディオ事業部で扱う商品では、1ビットデジタルアンプの構成比率が55%にまで上がっている。今後もグローバルに1ビットオーディオ化を進めていき、構成比を70%にまで上げていきたい」(AVシステム事業本部オーディオ事業部長の岡田守行氏)

 「デジタル化の流れで、TVはフラットパネルディスプレイへの人気が高まり、平均売価も3.3倍に伸びている。このように、デジタル時代の新たな価値を付加し、デジタル化のメリットがユーザーにしっかり評価された商品は売れていく。オーディオ分野でデジタル化の新価値を見出せるのが“ホームシアター”。DVDソフトの充実/低価格化でDVD関連の伸びも著しい。シャープとしては、このDVDに1ビットと液晶TV『AQUOS』とを核にした“オンリーワンシアターシステム”を提案していく」(同社同事業部副事業部長の益田安夫氏)

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[西坂真人, ITmedia]

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