News 2003年9月1日 08:54 PM 更新

パーツベンダーに聞く2003年後半の一手その3「MSI編」

MSIといえば、パフォーマンスをギリギリまでチューニングできるアグレッシブな設定、イベントで垣間見せる怪しいマニアックな雰囲気など、自作PCユーザーにとって一番ノリのいいマザーボードベンダー。今年後半は何を企んでいる(?)のだろうか。

 厳しい商いが続く自作PCパーツ業界。でも、エム・エス・アイ・ジャパン(MSI-J)の今年前半のビジネスは「過去最高の成果を収めた」(趙子欽氏 MSI-J代表取締役)らしい。

 ただしこの成果は、ショップブランドやメーカー製PCに対する組み込みOEMビジネスが好調だったため。今年前半最大の目玉だったIntel 875P/865対応マザーボードもそれなりに好調だったらしいが、Intel 845シリーズ搭載マザーボードが依然として好調に売り上げを伸ばしているのは、ほかのマザーボードベンダーと同じらしい(ただし、ほかのベンダーでは、売り上げのほとんどを占めていたのがmicroATXマザーであるのに対し、MSIは売り上げの9割9分までをフルATXが占めている、というあたりが非常に興味深い)。


エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン代表取締役の趙子欽氏

 そんななか、インテル向けプラットフォームでMSIはどんな「一手」を考えているだろうか。すでに製品となっているのがIntel 848P搭載マザー「848P Neo-LS」。このチップセット、FSB 800MHz対応でDDR 400をサポートするところまでは最新スペックなのだが、メモリバスがシングルチャネルであるところで、ショップやユーザーの評価が「イマひとつ」となっている。

 しかし、MSIは「FSB 800MHzのCPUとDDR 400のメモリを組み込みたいユーザーのすべてが、デュアルチャネルを使いたがっているわけではない。とくに最近のようにメモリの価格が下げ止まり、もしくは微増傾向にある状況ではその傾向が強くなっている」(趙氏)と考え、Intel 848Pマザーを日本でも投入した。

 Intel 875PやIntel 865シリーズを搭載したマザーボードの売り上げが好調だったMSIは、FSB 800MHzがもたらすパフォーマンスのメリットを日本のユーザーも十分に認識している、と判断している。パフォーマンスを認識しながらも購入予算が厳しいユーザーのために提供するのが848P Neo-LS、というわけだ。

 とはいえ、Intel 848Pのあとは、Prescottの動向がはっきりするまで、Intelのチップセットはしばらくお休みとなる。その間、移り気なユーザーの興味を引きとめておくのがサードパーティのチップセットを搭載したマザーボード。MSIはほかのベンダー同様SiS 655FXを搭載したマザーボードの発売を予定している。

 ほかのベンダーでは慎重な評価が多いSiSにVIAだが、MSI-Jはそれほど厳しい見方をしていない。趙氏は、SiS 655FXについても「選択肢をユーザーに用意するためにラインナップに加える」と、ほかのベンダーと同様の理由を口にしながらも、「SiS 655FXには十分競争力がある」と自信を見せている。

 VIAについても「たしかに今年前半は厳しい状況だったらしい。だが、これまでの実績を考えるとまだまだ力は残っているはず。今年中の回復は難しいかもしれないが、来年の動きに注目しておくべきだ」と、こちらも期待を残している。

 MSIのサードパーティ製チップセットマザーとして注目したいのが、ATIの最新統合型チップセット「RADEON 9100 IGP」を搭載したマザーボード。発売時期は未定であるが、MSI-Jは市場に投入することを正式に決定しており、マニュアルもすでに完成している。現在、ATIにおけるバリテーション作業のFIXを待っている状態だ。


MSI初のATIチップセット搭載リテール向けマザーボード。サウスブリッジにはIXP150を搭載しているが、製品版で搭載するチップはまだ決定していない

 MSIのリテール向けビデオカードはNVIDIAで統一されており、ATI製のチップをリテール製品に搭載するのは、この製品「MS-7003」(開発コード名)が初めてとなる。今回、始めてATIチップセットを採用した理由について趙氏は「スペック的に興味深い。だからコンシューマの製品で採用することにした」と説明している。

 「Intelのチップセットばかりでは、面白くないじゃないですか」(趙氏)と、MSIもAthlon 64の登場に向けて対応マザーボードを準備している。ただし、ほかのベンダーがVIAのK8T800搭載マザーとNVIDIAのnForce3 150搭載マザーを準備しているのに対して、MSIが最初に投入するのはK8T800を搭載したフルATXマザー「K8T Neo」のみ。

 売り上げのほとんどフルATXであるMSIで、microATXマザーが「近日発売予定」であるのは、分かるとして、ほかのベンダーからパフォーマンス的に優位であると指摘されているnForce3 150マザーを投入しないのはなぜだろうか。

「MSI内でnForce3 150搭載マザーの開発に時間がかかっているため」(石岡宣慶氏 MSI-Jマーケティング担当)というのがその理由らしいが、nForce3 150とK8T800のパフォーマンスについては、「まだベータレベルのチップセットとマザーボードで測定した値で、パフォーマンスを比較すること自体に無理がある」(石岡氏)と答えている。


MSIが投入する予定のK8T800搭載マザー「K8T Neo」。「この時期におけるマザーボードで大事なのはパフォーマンスもさることながら、安定して動作すること。K8T Neoは検証作業でとくに問題が出てきていない。サウスブリッジに実績のあるVT8237であることも安定動作という面では大きい」(石岡氏)

 「入手されるいろいろな情報から判断すると、Athlon 64の本格的な立ち上がりは来年になってから」(趙氏)と判断するMSIだが、それでも、関連イベントを予定しているなどそれなりに大掛かりなプロモーションを考えているそうだ。

 しかし、最も重要な特徴である「64ビットコンピューティング」におけるパフォーマンスを実証できないAthlon 64を、ユーザーに対してどのようにアピールしていくのか。

 MSI-Jは「単純にパフォーマンスに訴えることはしないだろう」と答えるものの、訴求するキーワードは今も模索している。CPUの供給能力もさることながら、ユーザーに分かりやすくAthlon 64のメリットを提示できるときにようやく、本格的に普及する足がかりが出来るのではないだろうか。

関連記事
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関連リンク
▼ エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン

[長浜和也, ITmedia]

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