News 2003年9月17日 04:23 PM 更新

P4 Extreme、仮想PC機能、自動サスペンド――AMDを意識したIntelのデスクトップ戦略(2/2)


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 前出のウィリアム・スー氏は「この機能は例えば、OSやアプリケーションのアップデートを安全に行う上でも役立つ。2台の仮想PCをミラーリングしておき、片方の環境だけをアップデートして評価するといったことが可能になる。片方の仮想PCを、ITマネージャが指定する完全にセキュアで安定した環境に保っておき、プライベートな作業環境はもう片方の仮想PCに構築することもできる」と話す。

 また、オッテリーニ氏はHyper-Threading対応のプロセッサコアを2個搭載するデュアルコアアーキテクチャー(つまり物理的に2つのプロセッサコアが統合され、4本のスレッドが同時に実行できる)を、将来のデスクトップPC用プロセッサにも投入する予定であることを明らかにしている。


デスクトップ向けにもデュアルコアのプロセッサを提供すると約束したオッテリーニ氏

 Intel自身は将来の技術ということで詳細なコメントを避けているが、デュアルコアになってくると、Vanderpool Technologyはさらに実用的な機能となっていくだろう。ただしオッテリーニ氏はVanderpool Technologyの実装が終わるまでの期限を「5年以内」とかなり長く見積もっている。

 もう一つの興味深いデスクトップPC向け機能は、バーンズ氏がデモンストレーションした、デスクトップPCの電源を抜いてもデスクトップの状態を保存できる機能である。数分の短い停電や、あるいは電源コードが抜けてしまったといったトラブルがあっても、ホームサーバとしての機能やデスクトップPC上で行っていた作業を保護できる。実際にバーンズ氏が電源ケーブルを抜き、しばらくしてからケーブルを挿入すると、再び電源ケーブルを抜く前の画面に復帰。動画配信などのアプリケーションも復帰した。


バーンズ氏が自動サスペンド機能のデモで利用したBigWaterコンセプトの試作PC。BigWaterプラットフォームの新しいマザーボードはBTXと名付けられることになった(BはBalanced)。ただしBTX=バックアップ電源付きというわけではなく、現在はあくまでもコンセプトとのこと)

 ウィリアム・スー氏はこの機能の実現方法について「現在のところ、これはコンセプトでしかない。実現方法はいろいろあるが、小さいバッテリーなど蓄電可能なデバイスをPCに内蔵することになる。したがって、いつまでも状態を保存していられるわけではなく、内蔵する電源によって限界はある。これはユーゼージモデルの改善を狙ったものだ」と話す。

 つまりプロセッサやチップセットに実装するハイテクというよりは、デスクトップPC利用者の体験を改善する1つのアイデア、コンセプトというわけだ。バッテリーの代わりにスーパーキャパシタを使う手法もあるだろう。

 昨年、Intelは「ユーザーのPC体験を改善するために、さまざまな技術革新を起こしていかなければならない」とかけ声をかけてはいたものの、具体的な技術やアイデアについて言及することはなかった。しかし今年、そうした努力による成果の一部が顔をのぞかせてきたと言えるのかもしれない。



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[本田雅一, ITmedia]

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