News | 2003年10月9日 04:00 AM 更新 |
有機ELは“本格実用化の秒読み体制”
CEATECでは、青紫色レーザー光ディスクやBluetoothなどと並んで“次世代”が冠されて久しい“新”技術「有機EL」。一昨年はソニー、昨年は三洋電機が、十数インチの大画面タイプを参考出展してCEATECに華を添えていたが、今回は本格実用化を見据えてか、小粒でピリリとした“真面目”な提案が目立った。
三洋電機は、2.5インチでQVGAとなる携帯電話向けや1.9インチ(11万4000画素)のデジカメ向けなど、新開発の有機EL製品群を紹介している。低分子系有機材料を使ったアクティブタイプだ。
今回の製品群では、白色発光の有機ELに、液晶で一般的なカラーフィルターを組み合わせてカラー表示を行っているのが特徴。RGB3色それぞれの有機材料を発光層に利用した従来タイプに比べ、液晶で使われている汎用技術を応用できるため、工程の短縮化や歩留まり向上など生産効率を大幅に高められるという。
同じように白色発光素子にカラーフィルターの組み合わせで有機ELパネルを展示していたのがローム。こちらは、高解像度化が難しいとされていたパッシブタイプ(単純マトリックス)で180ppiという高精細なフルカラー有機ELパネルを試作していた。
180ppiのパネルは、サイズにすると1.1インチでQQVGA(160×120)ピクセルになる。ブースでは、携帯電話のサブディスプレイ用途を提案していた。「商品化はまったく未定。単色タイプを1年以内に商品化して実績を積んでから、フルカラータイプの商品化を進めていきたい」(同社)
“ポスト有機EL”――次世代の次を狙うFED
さて、有機ELネタに食傷気味の筆者が今注目しているのがFED(Field Emission Display)だ。今回のCEATECでは双葉電子工業がFEDの参考出展を行っている。
フラットパネルディスプレイとCRTの“いいトコ取り”をしたようなFEDは、CRT並みの応答性/色再現性を厚さ1センチ程度の薄型TVで可能にする期待のテクノロジーだ。同社が昨年のCEATECでお披露目した8インチタイプは、かなり色ムラが見られたが、今回は駆動方法の見直しや色再現範囲の拡大などにより、画質を大幅に向上している。
そして今回は11.3インチタイプが登場。大画面化によってVGA(640×480ピクセル)表示が可能になり、解像度の面からもTV画質にようやく到達した。
低消費電力(11ワット)/高輝度(平均350カンデラ)/広視野角(170度)、そしてパネルの厚さがわずか2.8ミリなのはFEDならではだ。
「動作寿命も1万時間に近いところまできている。色ムラはかなり改善されたと思うが、こだわりのユーザーから見るとまだ改良の余地はあるようだ。だが商品化もそう遠い将来ではないだろう。FEDにはもっと大画面を期待する声も多いが、当初は十数インチ程度の小さな画面で商品化する可能性が高い」(同社)
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[西坂真人, ITmedia]
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