News 2003年10月22日 11:52 PM 更新

コクピットでパイロットも爪弾いている?――ヤマハ「サイレントギター」にカラバリ登場

ヤマハが、サイレントギターのカラーバリエーションを発表。発表会では、業界異例の出荷台数をみせるなどヒット商品になっているサイレントギターの国内販売状況やカラバリ開発経緯、海外でのサイレントギターユーザー像などが紹介された。

 ヤマハは10月22日、サイレントギターの新製品としてフォークギターモデル3色(レッド、ブラック、アンバーバースト)/クラシックギターモデル1色(アンバーバースト)のカラーバリエーションを発表した。11月1日から発売する。価格はフォークギターモデルが各色ともに6万9000円、クラシックギターモデルが6万7000円。


カラーバリエーションが登場したサイレントギター。右からレッド、アンバーバースト(フォーク)、同(クラシック)、ブラック

 2001年12月に発売されたサイレントギター(クラシックギターモデル)は、弦の振動をピックアップし、デジタル処理して生成したギターの音色を、ヘッドフォンやアンプ・スピーカーなどで聴くという仕組みだ。 共鳴胴を持たないその構造から、ギター本体から発生する生音はとても小音量となるため、周囲に気兼ねなく演奏を楽しめるという製品コンセプトが、初心者からプロの演奏者まで幅広いユーザーに支持されている。

 昨年11月には待望のフォークギターモデルが登場。昔、青春時代の熱い思いをギターで爪弾いていた“休眠ギターファン”の心を揺り動かしたようだ。


同社弦打楽器事業部長の丸橋雅彦氏

 「サイレントギターは、国内で累計1万5000本を販売した。当社のギター製品は、アコースティックモデルが350品番、エレキモデルが300品番あるが、1品番が年間3000本売れれば大ヒットとなるので、サイレントギターは業界でもかつてないヒット商品になっている。特にわれわれが“ギター休眠層”“ギター回帰層”と呼んでいる30〜50歳代のユーザーにアピールできたのがヒットの大きな要因」(同社弦打楽器事業部長の丸橋雅彦氏)

 もともと、同社内で募集したセルフプロデュース企画から生まれた経緯もあり、サイレントギターでは実験的な取り組みが盛んに行われている。昨年の秋には、同社子会社のオンライオンショップ「ミュージック・イー・ネット」でサイレントギターのカラーバリエーションをテスト販売。レッド/ブラック/ホワイト/ブルーを用意したところユーザーから大きな反響を呼び、特に人気の高かったレッドとブラックに、ギターのカラーバリエーションとして定番色のアンバーバーストを加えて、今回のカラーバリエーション商品化に至ったというわけだ。


テストマーケティングで人気の高かったレッドとブラックの2色を商品化

 サイレントギターは、生音が小さいので隣人に気兼ねなく演奏できる点や、コンパクトで収納場所に困らないなど、“ウサギ小屋”的な住宅事情にマッチした「日本ならではの製品」といえるが、昨年は5000本が輸出されるなど海外でもサイレントギターの評価は高まっているようだ。

 「日本ではサイレント性が受けているが、海外では気軽に持ち歩ける“ポータブル楽器”として評価されている。先日、米国出張の時に、シカゴの空港でパイロットがサイレントギターのケースを抱えてコクピットに乗り込む姿を見た。たぶん、自動操縦の時に弾いているのだろう。米国の販売担当者に聞くと、パイロットのほか弁護士や医師など社会的にステータスが高いユーザーがサイレントギターを購入しているようだ。あのビル・ゲイツも購入したというウワサもある。今年は国内・海外ともに1万本ずつの販売を目標にしている」(丸橋氏)。


今回のカラバリ発表会にはシンガーソングライターの拝郷メイコさんが登場。新製品の“赤い”サイレントギターを使って持ち歌の3曲を熱唱した。「使い心地は本物のアコースティックギター(フォークギター)とまったく同じ。(シースルの)外観はちょっと驚いたが、使ってみると軽くて本物よりも扱いやすい」(拝郷さん)

関連記事
▼ 音作りに1年――スチール弦のサイレントギター“フォークギターモデル”発表

関連リンク
▼ ヤマハ

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.