News:ニュース速報 2003年10月23日 07:41 PM 更新

組織内不正コピーで経営者責任を認める初の判決

大阪市のPCスクール経営会社が不正コピーしたソフトを使用していたとして、大阪地裁は10月23日、米Microsoftなど3社に約3880万円の支払いを命じる判決を出した。

 大阪市のPCスクール経営会社が不正コピーしたソフトを使用していたとして、米Microsoftなど3社が損害賠償の支払いを求めていた訴訟で、大阪地裁は10月23日、PCスクール経営会社と同社代表取締役に約3880万円の支払いを命じる判決を出した。日本コンピュータソフトウェア著作権協会などによると、組織内不正コピーで経営者の責任を認めた判決は初めて。

 訴訟は、PCスクール経営のヘルプデスクが「Office」などを不正コピーして授業に使っていたとして、2002年9月にMicrosoftと米Adobe Systems、米Quarkが損害賠償を求めて訴えていたもの(関連記事を参照)。

 判決では会社の損害賠償責任を認めた上、(1)経営者は社員が不正コピーを行わないよう注意する義務があったのに怠った、(2)不正コピー防止の管理体制に不備があった──として経営者の責任も認定、連帯して賠償金を支払うよう命じた。

 ACCSは「経営者は社内でソフトの不正コピーが行われないようにする注意義務があることを意味している。経営者が率先して不正コピー防止を行うことが期待でき、特筆すべき判決」と歓迎している。

 判決では、証拠保全時に不正コピーソフトがインストールされていなかったPCに対しても、ソフトのインストールと使用の痕跡が認められた場合、不正インストールが行われていたと認めることが可能という判断も示した。ACCSは「多くの情報がデジタル化されるデジタル情報化社会における侵害事実の認定に一定の方向を示すものとして高く評価できる」とコメントしている。

 ただ損害賠償額がソフト1本当たりの小売価格×本数で計算されたことには「予め正規購入した場合と同額の金額を支払えばよいという意識、つまり『侵害のし得』感を生み出す温床となる可能性がある」と指摘。悪質なケースへの刑事罰の適用や、民事的な救済制度の創設を検討すべきとしている。



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