News | 2003年11月8日 00:51 AM 更新 |
先日行われたFPD関連の展示会「FPD International2003」の会場で、日本ではあまり名の知られていないある企業のブースに人だかりができていた。
FPD関係者の注目を集めていたのは“INNOVATIVE DISPLAY PERFORMANCE”の文字をブースに大きく掲げた米国のベンチャーClairVoyante Laboratories(CVL)だ。「高品質画像」で「低消費電力」なFPDを「低コスト」で可能にする同社の“革新的な”独自ディスプレイ技術について、CEO(最高経営責任者)のギャレット・ギャレットソン氏に話を聞いた。
CVLは、FPDメーカー向けにデザインとソフトウェアの技術ライセンスを提供。設立は1999年と新興ながら、現在、日本企業6社、台湾企業3社、韓国企業2社のFPDメーカーとパートナーシップライセンス契約を交わしている。
多くのFPDメーカーが注目する同社のテクノロジーは、新アルゴリズムと独自カラーフィルター配列を用いた「PenTile Matrix」だ。
ディスプレイに使われているカラーフィルターは、線/図形/文字の表示に適していることからRGBを直線的に配列した「RGBストライプ配列」が一般的となっている。これに対してPenTile Matrixは、赤と緑のサブピクセル構成を格子配列に置き換え、青色画素をその中心に据えている。
サブピクセルの大きさを比べると、RGBいずれもPenTile Matrixの方が大きいのが分かる。だが、これらはすべて“見た目”は同じ解像度になるという。
「PenTile Matrixは、人間の視覚特性に合わせた配列を形成しており、少ないサブピクセルで同じ情報を得ることができる。サブピクセルが少ないということは、同じ解像度ならより低コストで生産でき、同じコストならばより高解像度のディスプレイを作れる。また、大きなサブピクセルは光の透過率を高めるため、同じ輝度なら省電力に、同じパワーなら高輝度にできる」(ギャレットソン氏)
PenTile Matrixの革新的なアーキテクチャは、10年以上にわたって人間の視覚システムに関する研究を行ってきたCVL創業者で現在同社CTOのキャンディス・エリオット氏の研究成果が生かされている。
人間の視力や色覚は、眼の中心部にある黄班部が担当している。黄班部にはRGBそれぞれのCones(網膜錐体の感覚器官)があるのだが、エリオット氏の研究によると、赤と緑のConesはほぼ同数あるのに対して、青のConesは赤や緑に比べて1/10程度しかないという。
「人間の眼では、解像度情報などは主に赤と緑で検出しており、青は色のバランスをとるだけの機能しか持っていない。つまり、赤・緑・青のサブピクセルが同じ量で使用されている現在主流のRGBストライプ配列は、人間の視覚システムを考えると効率のよいものとは言い難いのだ」(ギャレットソン氏)
[西坂真人, ITmedia]
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