“革命的Ustream放送”「激笑 裏マスメディア〜テレビ・新聞の過去〜」の裏側(2/2 ページ)
「テレビ・新聞の未来」を語るNHK放送記念日特番の裏では、ネット界の著名人がUstとニコ生で「テレビ・新聞の過去」について語り合っていた。トータルで14万ユーザーがアクセスした快挙の裏側をライターの三上氏がリポート。
トラブルで30分停止後も視聴者数1万人
NHKの特番が終わったと同時に、放送中に参加メンバーが電話をかけ始める。NHK特番に出演していた人に、こちらへの合流を呼びかけるためだ。それに応じて、なんとニコニコ動画でおなじみのドワンゴ・川上会長が、NHKから収録現場の小飼氏の自宅にかけつけてくる。
ところがここでUstream中継にトラブルが起こった。あまりに視聴者数が増えたためか、Ustream中継ができなくなってしまったのだ。無料アカウントの状態だと7000〜8000人でロックがかかってしまうようで、中継が30分程度止まってしまった。
急きょニコニコ生放送もやろうとなったのだが、午前0時を回っているため公式チャンネルを放送できるスタッフはいない。そのためニコニコ動画のユーザー生放送で有名な伊予柑氏にヘルプを頼んでタクシーで駆けつけてもらい、そこからはUstreamとニコニコ生放送の2本立て中継となった。
この時点ですでに深夜0時半ごろなのだが、Ustreamで7000〜8000人、ニコ生で2000人弱の視聴者がいて、ピーク時には1万人前後が視聴していた。特に後半部分で堀江氏がライブドア時代の戦略と反省を語り出した部分、そして川上氏がモバイルでの可能性を語った部分では、Twitterでも大きく注目された。
反省点も多数だが、歴史的生放送であることは間違いない
ただし問題点もいくつかあった。アルコールが入ってしまったため、不穏当な発言も出てしまったこと(それ自体もUstreamの面白さだと思うが)、そしてTwitterとの連携がうまくいかなかったことだ。
司会の津田氏はTwitterで「『ダダ漏れ』やgdgd(筆者注:グダグダのこと)が悪いんじゃない。俺もそういうのは好きだし。でもかけた看板との著しい齟齬とか、インタラクティブ性を謳っておきながら、視聴者のTLの拾い上げができない感じが、朝ダダ以降多くてそれが俺には辛い」とつぶやいている。
あまりに視聴者が多く、TL(タイムライン:Twitterでのつぶやき一覧のこと)が飛ぶように流れて追いつかないのだ。またTLから拾って出演者に伝えて進行する役(テレビで言うフロアディレクター)がいないので、どうしても視聴者からの声を放送に反映できない。Ustreamやニコニコ生放送では、見る側からのレスポンスをダイレクトに放送に反映できるのが最大のメリットであり魅力でもある。それがうまくいっていないのは今後の課題と言えるだろう。
しかしながら、今回の放送が歴史的快挙であることは間違いない。Ustreamでは日本一と思われる視聴者数となったこと、そしてマスメディア対ネットという構図で行われたNHKの放送に、ネット側が革新的なスタイルで対抗したことは快挙と言える。討論の内容はもちろんのこと、今回の放送をすること自体が既存のマスメディアに対する、ネットからの反論・アプローチになったと思う。今後もUstreamのムーブメントに注目したい。
関連記事
- “ダダ漏れ”女子増殖中 「視聴者を現場に連れて行くような役割」
私生活の映像などをネット上にさらす“ダダ漏れ女子”が静かに増殖中。その1人・そらのさん(22)は、「視聴者を現場に連れて行くような役割」と自負する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.