「Ustreamには説得力がある」――ミニ四駆やラジコンの楽しさを生で タミヤの作戦
タミヤがミニ四駆やラジコンレースの様子などを積極的にライブ配信している。製品の楽しさを初心者に知ってもらう狙い。「Ustreamには説得力がある」と担当者は語る。
ラジコンカーが高速でコースを駆け抜ける。オーバーテイクにスピン。激しく順位が入れ替わる。力の入った実況に歓声も聞こえる。コントローラーを手に持ち、真剣にレースを見つめるドライバーたち。胸のゼッケンには2つ星のロゴが光る――。タミヤがUstream配信した映像のワンシーンだ。
ミニ四駆やラジコンでおなじみのタミヤが昨年7月ごろから、ライブ配信に積極的に取り組んでいる。ミニ四駆やラジコンのレース、模型講座などをUstreamにのせて届けている。撮影と配信のほとんどすべてをタミヤ広報宣伝課の石崎隆行主任が1人で行っており、約半年で50回ほど配信してきた。
レースの様子は、かつてテレビ番組「タミヤRCカーグランプリ」で見たことがある人もいるかもしれない。30分の放送枠のうちレース紹介は5分間程度という場合も多かったが、Ustreamでは配信時間が2時間を超えることもざら。ドライバーの談笑シーンや来場者の表情など、レース以外の部分もふんだんに流している。
参加者が楽しんでいる様子を生で届けられるUstreamには「説得力がある」と石崎さんは期待。ライブ配信の技術に詳しかったわけでもなく、うまくできたという手応えは「まだない」というが、視聴者からのコメントに励まされて続けてきたという。
ラジコンやミニ四駆は「大人の趣味」に
いまミニ四駆を楽しんでいるのは、20代と30代半ばの世代が中心という。これまでに何度かあったミニ四駆のブームを子どものころに体験し、大人になってから再び始める人が多く、親子で取り組む人も増えているそうだ。同じ傾向はラジコンカーにも。ファンの年齢層が上がり「大人の趣味になっている」側面がある。
ミニ四駆、ラジコン、プラモデルなど、タミヤが手がける製品は、買ってすぐに楽しめるようなおもちゃとは違い「手間ひまをかけることで面白さが増すもの」。経験豊富なファンの深い要望に応えられる一方で、初心者には面倒くさそうに感じる場合があるのでは――と石崎さんは気にかけていたという。
Ustreamは、初心者にタミヤ製品の楽しさを知ってもらうために始めた。「タミヤの製品に触れたことのないような人に見てもらいたい。ラジコンやミニ四駆は実際に始めてみると理屈抜きで楽しいということを伝えられれば」
“手作り”で配信 ドライバーや参加者の表情をふんだんに
タミヤには、イベントを企画する専門部署「催事課」があり、1年にミニ四駆イベントを40回、ラジコンイベントを70回ほど開いている。Ustream配信するのも、ラジコンカーを走らせて世界一を決める「タミヤワールドチャンピオン決定戦」など、催事課が企画したイベントが多い。
ミニ四駆やラジコンレースは、1999年までテレビ東京系列で放送していた「タミヤRCカーグランプリ」でも取り上げていたが、30分の放送枠のなかでレース紹介は5分程度と短い場合も多かった。放送時間が早朝だった時期もあり、「最終的にはタミヤの製品を好きな人だけが見る番組になっていた」と振り返る。
一方、タミヤ製品に関心がない人にアピールするため始めたUstreamは、配信時間が2時間を超えることもざら。初心者にイベントの雰囲気を知ってもらうためには「人を見せたほうが伝わる」と考え、ドライバーの談笑シーンや来場者の表情など、レース以外の部分をふんだんに流すようにしている。レースの行方を詳細に知りたい視聴者から「レース以外の映像に切り替えないでほしい」といった声が寄せられることもあるが、それでもあえて映している。
「全日本模型ホビーショー」など、タミヤが出展する展示会の会場をまわりながらUstream配信することも。そんなときは、駅弁の売り子のようなスタイル(GIZMODOに掲載された石崎さんの写真)だ。普段の業務で使っているノートPCとWebカメラを画板の上に置き、肩からかけたひもで支えて歩く。東急ハンズで買った板とひもで石崎さんが手作りしたという。
うまくできた手応え「まだない」が……
石崎さんはもともとライブ配信の技術に詳しかったわけではない。配信現場でネット環境を確保しづらかったり、配信中に映像や音が途切れたり――など、トラブルは日常茶飯事。うまく配信できたという手応えは「まだない」が、「ラジコンを始めたくなった」「久々に買ってみようかな」といった視聴者からのコメントに励まされ、これまで続けてきた。
秋からは模型作りのテクニックを紹介するUstream専用番組もスタート。配信スケジュール表も自社サイトで公開している。
ユニーク視聴者数は、10月に開催したラジコン大会の配信時が最も多く、約1万3000人にのぼった。Ustreamのトップページで番組が紹介され、視聴者数が伸びたという。
石崎さんがUstreamに取り組む様子を会社も評価している。当初は会社の備品のカメラに普段の業務で使うノートPCというありあわせの機材を使っていたが、10月にはライブ配信用機材を買うための予算が下りた。複数のカメラ映像を高画質で配信できる、Ustream公式ソフト「Ustream Producer Pro」などを購入し、本格的な配信体制を整えていく。
今後は、トークショーや座談会など、Ustreamで配信することを前提としたイベントも企画していく予定だ。
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