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赤松健さんが語る「マンガ図書館Z」の狙い 「あらゆる作家が潤い、海賊版が絶滅する世界を」(1/2 ページ)

赤松健さん率いるJコミ「絶版マンガ図書館」がGYAOとの提携で「マンガ図書館Z」にリニューアル。海賊版撲滅と漫画家の収入源確立を目指し、さらに事業を拡大していきたいと意気込む。

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 ヤフー子会社のGYAOは8月3日、漫画家・赤松健さんが代表を務めるJコミの「絶版マンガ図書館」を引き継ぎ、絶版漫画を中心にWebで無料配信する「マンガ図書館Z」をオープンした。赤松さんは取締役会長として引き続き中心的に運営に関わり、海賊版撲滅に向け「これからが本番」と意気込む。

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マンガ図書館Z

 「マンガ図書館Z」は、「絶版マンガ図書館」をリニューアルし、GYAOと赤松さんが6月に設立した新会社「株式会社Jコミックテラス」が運営する形でスタート。旧サービスと同様に、絶版になった作品や単行本の刊行がストップした作品など、出版社が取り扱わない漫画作品を電子化し、広告付きで無料配信し、広告収入の100%を作家に還元する。漫画家の新たな収入源を目指すとともに、海賊版撲滅にも貢献したいという。

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吹き出し内が自動翻訳される=赤松健さん「ラブひな」1巻より

 リニューアルに際してビューワーを刷新。吹き出し内のせりふを認識し、51カ国語に自動翻訳する機能を搭載した。赤松さんは「漫画家にとっては感動的な機能なんですよ!」と興奮気味に語り、「せりふ部分の認識が甘かったり翻訳精度がそこまで高くないなどの点はあるが、表情と手振りでなんとなく分かるのがマンガのよさ」とアピールする。

 従来提供してきた無料閲覧に加え、電子透かし入りPDFの販売もスタート。電子書籍ストアは増えているもののあくまで“閲覧権”であり、サービスが閉鎖されたら読むことができない。クラウドストレージなどへの保存も可能なPDFデータで提供し、ユーザーには端末を問わず自由に読んでほしい――と狙いを話す。許諾を得た一部作家の作品はKindleストアでも有料配信する。

 月額300円(税別)の「プレミアム会員」は、広告表示なしで作品を読むことができるほか、電子透かし入りPDFを毎月1冊ダウンロード、成人向け作品の閲覧、本棚への登録冊数を5000冊に拡大(無料会員は7冊)──という特典を提供する。

 今秋には、単行本化されていない作品などを印刷・製本して提供するプリントオンデマンド(POD)販売を始める。Webサイトのスマートフォン版も現在開発中だ。

 作品のアップロードはプロ・アマ問わず受け付け、既存作家の発表の場としてだけでなく、新人作家の育成にもつなげたいという。

 「新人を育てるのは出版社の仕事、と思ってきたが厳しい状況になってきた。有料でネームを添削したり制作のアドバイスをするなど、ベテラン漫画家を多く抱えているからこそできることがあるはず」(赤松さん)と、新たな才能を育てる場となることも目標に加える。

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