米Yahoo!の買収はGoogleとFacebookに対抗するため──AOLのアームストロングCEO
Verizon傘下のメディア企業AOLのティム・アームストロングCEOがRecodeのインタビューで、買収するYahoo!のマリッサ・メイヤーCEOのポジションは未定だが、少なくとも取引完了までは協力していくと語った。
「GoogleとFacebookは今後も確実に力を増していくだろう。われわれは彼らと同レベルでいるために、将来的に本当の差別化を実現する必要がある」──。米Yahoo!の買収を推進した米Verizon Communications傘下のメディアコングロマリット、AOLのティム・アームストロングCEOがそう語ったと、同氏にインタビューした米Recodeが7月25日(現地時間)に報じた。
Yahoo!の買収は、そのための最適な選択だと同氏は語った。AOL傘下の米TechCrunchによると、アームストロング氏は買収発表後の全社会合で、買収の目的はAOLの規模拡大にあり、これによりコンテンツサイトへのトラフィックを、ひいてはコンテンツの広告インプレッションを増加させると語ったという。
検索大手の米GoogleとSNSの米Facebookは、いずれもコンテンツの広告が主な収入になっている。
Verizonは同日、Yahoo!の主要事業を48億3000万ドル(約5138億円)で買収することで合意したと発表した。取引は2017年第1四半期(1〜3月)に完了する見込みだ。
Yahoo!のマリッサ・メイヤーCEOについては、買収後のポジションは未定という。メイヤー氏自身はYahoo!の従業員向け書簡で同社を愛しているので留まるとしている。
アームストロング氏はメイヤー氏について、「何も確定していない。向こう数カ月、次のステップまで同氏と協力していく計画だ。(Yahoo!の従業員の)役割は取引完了後の状態によって決まる」と語った。
レイオフについては、「この取引の目的は企業の成長であり、シナジー(レイオフの婉曲表現)ではない。将来的にはシナジーもあり得るが、最優先事項ではない」と説明した。
アームストロング氏は2009年、AOLがまだ米Time Warner傘下にあったときに同社の会長兼CEOに就任した。Verizonは2015年にAOLを約44億ドルで買収した。
メイヤー氏は2012年、Yahoo!の再建のために同社のCEO兼社長に就任した。アームストロング氏の前職はGoogleの広報販売担当副社長、メイヤー氏は地域情報と地図担当の副社長だった。
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