「東京湾で震度7」誤報、電源故障が原因 一部の地震計を使用停止に
気象庁が8月1日に緊急地震速報を“誤報”したトラブルの原因が、地震計の電源故障だったと判明。故障の原因は特定できなかった。
東京湾で最大震度7の地震が起きる――気象庁が8月1日、一部の事業者向けにこんな緊急地震速報を出し、すぐに誤報と判明して取り消した。同庁は12日、このトラブルの原因が、千葉県内の地震計の電源部が故障したことだったと発表した。同様のトラブルを防ぐための当面の措置として、同じタイプの地震計が設置された15カ所での使用を控えるという。
トラブルは、8月1日午後5時過ぎに「東京湾でマグニチュード9、最大震度7の地震が発生する」との緊急地震速報の「予報」を54事業者向けに配信した後、すぐに誤報と判明し、「キャンセル報」を出して取り消した(関連記事)。誤報により関東地方の一部の鉄道が運転を停止するなどの影響が出たほか、「ゆれくるコール」など「予報」をそのまま配信している地震対策アプリのユーザーに混乱が起きた。
同庁によると、千葉県富津市に設置している地震計の電源部が故障し、出力される観測データが急激に変化したことが原因という。電源部の故障の原因は、落雷が影響した可能性もあるが、特定につながる記録や痕跡がなく、特定は難しいという。
同様のトラブルを防ぐため対策を検討するが、当面の措置として、関東地方15カ所にある同じ種類の地震計を利用停止するという。今後、これらの地震計の近くで浅い地震が発生した場合、最大4秒ほど地震検知が遅れる可能性があるとしている。
気象庁が発表する緊急地震速報には、一般向けの「警報」と、「高度利用者」と呼ばれる予報事業者向けの「予報」の2種類がある。警報は2地点以上の地震計で観測された場合に発表され、テレビや携帯電話のエリアメールなどを通じて速報が流れる。「予報」は1地点のみで観測した場合でも発表されており、鉄道事業者など地震時に緊急対応が必要な業者などが利用している。
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