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「時の流れ」の違いで標高差センチ単位測定 東大など「光格子時計」で成功

一般相対性理論に基づき、流れる時間の違いから標高差を測定することに、東京大学などの研究グループが成功した。

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 東京大学などの研究グループは8月16日、アインシュタインの一般相対性理論に基づき、時間の流れのわずかな違いから標高差を測定することに成功したと発表した。同技術を応用すれば、火山活動につながる標高の変化をリアルタイムで監視できるという。

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光格子時計

 一般相対性理論では「重力が強い所では時間がゆっくり進む」と考えられ、地球上では標高が1センチ異なると、重力の違いによって、1.1×10のマイナス18乗だけ時間の遅れが生じる。だが、従来のセシウム原子時計の精度では、このわずかな時間の差を捉えることは困難だった。

 研究グループは「光格子時計」と呼ばれる、1×10のマイナス18乗の精度まで測れる時計を開発。約15キロ離れた東京大学と理化学研究所の2カ所に設置し、流れる時間の差を調べ、標高差が15メートル16センチという計算結果が出た。国土地理院が現地で測ったデータと比べたところ、誤差は5センチ以内だった。同原理を使ったセンチメートルレベルの標高差測定は世界で初めてという。

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東京大学と理化学研究所の2カ所に設置

 今後、時計の高精度化を進め、火山活動の前触れとなる標高変化をリアルタイムで監視するシステムの開発などに役立てるという。研究成果は、英科学誌「Nature Photonics」(電子版)に8月15日(英国時間)付で掲載された。

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