トランプ大統領を提訴したACLUと移民が小さな勝利──大統領令の部分的な執行停止
ドナルド・トランプ米大統領が1月27日に署名した移民規制に関する大統領令をめぐり、ニューヨークの連邦地裁が移民や人権団体の申し立てを受け、影響下にある人々の本国送還を停止する一時的差し止め命令を下した。
ニューヨーク東部地区連邦地裁は1月28日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領が27日に署名した移民を規制する大統領令をめぐり、米国の空港で足止めされている大統領令の影響下にある人々の本国送還を停止する一時的差し止め命令を下した。ACLU(米国自由人権協会)などの人権団体らの緊急申し立てを認めたもの。
問題の大統領令は、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンを「懸念地域」とし、これらの国の出身者の入国を90日間停止するという条項が含まれる。この対象には、難民だけでなく、米国のビザやグリーンカードを保有する合法的な移民も含まれるため、米国で就業していてたまたま出張などで海外にいる間に大統領令が執行され、空港で足止めされるケースもあった。
ACLUが公開した判決文の申立人は、2人のイスラム系とみられる個人名になっている。ACLUによると、1人は移民ビザを持っており、もう1人は配偶者が永住権を持っている。
判決文は、合法的に入国を認められていた人々の国外追放を禁じるとしている。難民はその対象になっていない。
米The Vergeによると、バージニア州アレキサンドリア、ワシントン州シアトル、マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁もそれぞれ国外追放を禁じる命令を出している。
この問題については、米Googleなど、従業員として多数の移民を抱えるIT企業の多くが懸念を表明している。
米国内の多くの国際空港ではこの大統領令に反対するデモが行われ、サンフランシスコ国際空港のデモには、6歳でソビエト連邦(現ロシア)から亡命してきた米Googleの共同創業者であるサーゲイ・ブリン氏も参加していた。
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