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「海賊版の影響あるのに、これだけ“本物”売れるとは」――“タイ版アニメイト”は「初年度から黒字化」 その理由は(2/2 ページ)

講談社など5社が出資する「ジャパンマンガアライアンス」が、タイ・バンコクに出した店舗などの取り組みを報告。進出前は海賊版が多く流通していたという市場で、“本物”の売り上げが好調な理由は。

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売れる理由に「タイならではの工夫」

 店舗レイアウトは日本のアニメイトに近いが、タイならではの違いもある。日本語とタイ語両方の書籍・漫画をそろえるほか、グッズはジャンルごと、作品ごととさまざまな切り口で陳列するなど、見せ方を工夫したという。「日本と同様に本物の作品に接することができる店舗を意識した」(國枝社長)。

 店内外には、サイン会やライブを開催できるスペースを常設。16年には30回のイベントを実施し、最大規模のものだと2日間で約1万5000人を動員したという。

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店舗のレイアウト

 こうした取り組みは、出資社側からも好評だ。

 講談社の峰岸延也取締役(兼JMA取締役)は「日本のアニメイトのような本の並べ方、グッズを購入してもらう陳列の流れは、海外ではまだまだ知られていない」と話す。タイには、同社の店舗以外にも日本の漫画・グッズを扱う店はあるが、アニメイト的な陳列方法が「売れる理由」につながっているという。

 「ファンが本物に触れる機会を作り、現地を温めていくことが重要。20〜30年前の日本のオタクを見たような気分になった」(峰岸取締役)

 KADOKAWAの塚本進取締役(兼JMA取締役)は「海外展開を1社でやることには限界がある。特に海賊版撲滅やプロモーションは難しかった」と、5社が手を組む意義を強調する。

 タイでは昨年11月に映画「君の名は。」が公開され、バンコク店舗では1カ月超で同作の小説版・漫画版(KADOKAWAが出版)が各1000冊以上売れたという。「ちょうど映画公開のタイミングだったので売り上げにつながった。日本の書店ノウハウが生きていると思う」(塚本取締役)。

本物に触れる機会を拡大 東京タワーに店舗オープン

 同社は今後も「本物に触れる機会」を増やす考えだ。まず、3月1日には東京タワー(東京都港区)内に「アニメイトJMA 東京タワー」をオープン。バンコク店舗と同様、漫画やアニメグッズを取りそろえ、訪日外国人客の需要を見込む。

 「アジアや欧米への展開も順次検討し、出店先をリサーチしている段階。海外ファンのタッチポイントを増やしていきたい」(國枝社長)

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左から、JMAの峰岸延也取締役(講談社)、隅野叙雄取締役(集英社)、國枝信吾社長、相賀信宏取締役(小学館)、塚本進取締役(KADOKAWA)
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