将棋ソフト「PONANZA」とプロ棋士・佐藤天彦名人が対局する「第2期 電王戦」の第1局が4月1日に日光東照宮(栃木県)で行われ、PONANZAが勝利した。公の場で、将棋ソフトが現役タイトル保持者に勝利するのは初めて。
電王戦と銘打ち、人間と将棋ソフトが対局するシリーズは6度目。対局棋士を決める「叡王戦」で優勝した佐藤名人が、「電王トーナメント」を勝ち抜いたPONANZAと激突した。71手でPONANZAが佐藤名人を破った。
終局後、佐藤名人は「実際に戦ってみると、Ponanzaは読みが正確。こちらが予想できない手を指すことも多く、その場合も『なるほど』とうなってしまうほど精度が高い」と話した。「タイトルホルダーとして将棋ソフトと戦うということで、ファンに声援をいただいていたが、結果を出せずに残念。第2局も大変な対局になると思うが、自分の中では勝算はある」(佐藤名人)。
Ponanza開発者の山本一成さんは「Ponanzaは、プロ棋士の棋譜だけでなく、普通の将棋の形とは違う、さまざまな将棋も自分自身で学んでいたので、その効果が出た」と勝因を分析。「日本の情報科学の分野で、長年の目標とされていたことを達成できたと思う」(山本さん)。
今回の電王戦は2番勝負。第2局は姫路城(兵庫県)で5月20日に行われる。
関連記事
- 将棋「電王戦」今春で終了へ 川上会長「歴史的役割は終わった」
プロ棋士と将棋ソフトの対局「電王戦」を今春で終了するとドワンゴが発表。最終戦は、佐藤天彦名人と「PONANZA」が2番勝負で争う。 - 将棋「電王戦」ロボットアームが最終形態に 2本腕の「電王手一二さん」誕生
今春の第2期をもって終了する将棋対局「電王戦」では、2本腕のロボット「電王手一二さん」がコンピュータソフト側の指し手を務める。 - 将棋叡王戦、佐藤天彦名人が優勝 将棋ソフト「PONANZA」と来春対局へ
将棋の第2期叡王戦で、佐藤天彦名人が優勝。2017年春の第2期電王戦に“人間代表”として出場し、コンピュータ将棋ソフト代表の「PONANZA」と対局する。 - 「人工知能に負けても恥ずかしくない」――囲碁電王戦から見えた「DeepZenGO」の強さと課題
「第2回囲碁電王戦」を終え、対局した趙治勲名誉名人と「DeepZenGO」開発者の加藤英樹さんが勝因、敗因を振り返った。 - 「将棋の時とは違う」――東大を目指したAIの腕は“人間的なアプローチ”
人工知能(AI)の「腕」を担うのは、電王戦でおなじみのデンソーウェーブ。ところが、アプローチの仕方が「将棋」とは違うらしい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.