将棋「電王戦」ロボットアームが最終形態に 2本腕の「電王手一二さん」誕生
今春の第2期をもって終了する将棋対局「電王戦」では、2本腕のロボット「電王手一二さん」がコンピュータソフト側の指し手を務める。
ドワンゴと日本将棋連盟、デンソーは3月17日、プロ棋士とコンピュータソフトの将棋対局「第2期電王戦」(4月1日、5月20日)で、コンピュータ側の指し手を務める新開発のロボットアーム「電王手一二さん」(でんおうていちにさん)を発表した。2本の腕を持ち、将棋盤の限られたスペースでも両手で駒を動かせるという。
電王手一二さんは、アームの先端で駒をつかみ、コンピュータが指定した通りに指せるロボット。第3回 電王戦(2014年)の「電王手くん」、電王戦 FINAL(15年)の「電王手さん」、第1期 電王戦(16年)の「新電王手さん」に続く4代目で、これまで同様にデンソー子会社のデンソーウェーブが開発した。今春の第2期をもって終了する電王戦に“最終形態”として登場する。
電王手一二さんは、2台の産業用ロボットアーム「VS-060」を組み合わせた姿で、2本の腕が連動して動くようにする「協調制御システム」を採用。実際に工場内などで利用される制御機能を生かし、「左腕で駒の位置を把握し、右腕でつかむ」「駒を持ち替え『成り』をする」など、両手で駒を動かすという。
指し手の位置に応じ、本体を左右に移動させて駒を動かす。前回の新電王手さんと同程度のスピードや静音性を実現したほか、対局相手に心理的負担を与えないように、アームを伸ばす動きの加速度も調整したという。
ドワンゴが公開した「電王手一二さん」の紹介動画では、77歳の最年長記録を保持するプロ棋士の加藤一二三九段が登場。一般に将棋は片手で指すが、加藤九段は「両手を使って指すことはあった」とエピソードを披露している。
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