ロボット・玩具の製品開発会社バイバイワールドは8月31日、拍手をするロボット「ビッグクラッピー」の予約受け付けを開始した。販売予定価格は、29万8000円(税別、送料別)。初回出荷台数は100台で、2018年初旬の発送を予定している。
電源を入れると5秒で動作をはじめ、「どこでも」「店頭」「会社」「飲み会」「お誕生日会」「スポーツ観戦」から6つのシチュエーションを選べば準備は完了。あとは、こちらが何もしなくても人感センサーで人を感知し、100種類以上のせりふをしゃべりながら自動で手をたたくという。
「見守りロボット」「感情認識ロボット」といったロボットが多くみられる中発表された、「拍手するだけ」のロボット。なぜ「拍手」なのか? 開発者に聞いた。
実はこのビッグクラッピー、バイバイワールドの代表取締役高橋征資氏(「高」は、はしごの高)が学生時代に研究していた「拍手技術」(関連論文)が基礎となっている。同氏は、周波数特性の比較をし「どうしたら人間らしい温かみのある拍手を再現できるか」などを研究。2009年ごろから拍手マシンの制作を初めた。
開発当初は高橋氏の手をそのままかたどった形状だったが、2012年ごろ手の形をデフォルメしたものへと変更。これを活用したのがビッグクラッピーだ。
「やわらかい手のパーツを何度も作り直しました。(気持ちよく音が)鳴った瞬間はうれしかったですね。なぜか、笑えました」(高橋氏)
その可動部分を担っているのが、タカハ機工のソレノイドという電気部品。高橋氏は学生時代からソレノイドをネットショップで購入し、研究開発していたという。それから数年がたち、同氏は再び同ネットショップでソレノイドを購入。ちょうどそのころ、タカハ機工はハードウェアのベンチャー支援を考えており、ビッグクラッピーの量産化が決まったという。
ビッグクラッピーは、スマートフォンの専用アプリ(iOS)と連携し、4種類のモードが利用可能。「マニュアルクラップモード」では、発話と拍手を手動で操作できる。「マイミュージックモード」ではスマートフォン内のミュージックアプリと連動。ビッグクラッピーが、音楽に合わせて手をたたく。
また、「パフォーマンスモード」では、三本締めなどを含む6種類のパフォーマンスを再生。「カスタム発話機能」では、ユーザーの声を録音してビッグクラッピーにしゃべらせることができ、ビッグクラッピーの声にボイスチェンジすることも可能だ。
「動いてる様が面白く、音楽にも使える、柔らかい表現ができるエンタメマシンを作りたいと考えていたときに『拍手』を思い付きました。それがきっかけで生まれたのが、ビッグクラッピー。拍手だけで世界中の人を元気にできるな、と」(高橋征資氏)
(太田智美)
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