自腹切っても「楽しいから」……アキバで“流通”する仮想通貨「モナコイン」の謎(2/4 ページ)
日本発の仮想通貨「モナコイン」が静かに広がっている。支えるコミュニティーの規模は「国内最大級」とも。モナコイン普及のため、100万円以上もの自腹を切る人まで現れた。
Twitterユーザー同士でモナコインを投げ銭できる「tipmona」もよく使われている。登録不要で誰でも利用でき、モナコイナー同士で活発にやりとりされているほか、ドナルド・トランプ米大統領など著名人のTwitterに送り付けて遊んでいる人も。Wordpressで作られたブログに投げ銭できる「monage」というプラグインもある。
フリマもあれば、「神社」もある
モノやコンテンツの売買にも使われている。「Monappy」は、イラスト・漫画などのデジタルコンテンツから、コーヒー豆、ツナ缶、お米などさまざまなものが売買されるマーケットプレイスだ。モナコインで決済できる実店舗も登場。東京・秋葉原のPC店「パソコンSHOPアーク(ark)」では、多い時で1日10件ほどモナコイン決裁が利用されているという(関連記事:「想定以上の使用規模」――パーツ購入に仮想通貨を導入したパソコンSHOPアークに聞く)。秋葉原のメイドカフェ「プリモプリマ」も11月、モナコイン決済に対応した。
なぜか「神社」もある。モナコインで売買された長野県山中の土地に、有志が祠などを持ち寄って“建立”した「モナコイン神社」だ。山深い場所だがモナコイナーたちが定期的にオフ会を開いては開拓を進め、階段の設置や防雪、草刈りなどを行いながら維持・管理している。
モナコインが活発に利用されている背景を、モナコイナーの1人・にゃんたろうさん(30・男性)はこう解説する。「感謝を伝えたかったり賞賛したいなど、見返りなくお金をあげたい相手がいても、日本円というプラットフォームには、そういう仕組みがあまりない。モナコインならそれができるんです」。
店舗にモナコイン決裁を導入したアークの浦田優樹さん(33)は、「モナコインは1円以下の単位でも送れるため、チップを渡すような感覚で流通できる」と分析。「すでに活発に利用されており、気づいたころには“モナコイン経済圏”ができているのでは。店舗に導入することが、その一助になれば」と可能性に期待を込める。
個人が100万円以上投じた「広告プロジェクト」
「モナコインが普及すれば面白い」。そう考え、宣伝のために自腹を切る人もいる。
東京・秋葉原の駅前ビル・「秋葉原UDX」と「秋葉原ラジオ会館」の巨大ビジョンで10月末の1週間、モナコインをPRする動画CMが流れた。CMを流すのに必要な資金・約130万円は、個人投資家でモナコインエバンジェリストの田中さん(29・男性)が投じた。
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