「ザ・インタビューズ」再来? 急速に流行「Sarahah」とは サウジ発アプリ、日本で1位に
「Sarahah」(サラハ)というスマートフォンアプリが、11月半ばごろから日本で急速に流行しています。いったいどんなアプリなんでしょうか。
「Sarahah」(サラハ)というスマートフォンアプリが、11月半ばごろから日本で急速に流行しています。26日現在、App Storeの無料アプリ総合ランキング1位。20日に初めて総合1位になって以降、3位以内をキープしています。また、「Googleトレンド」で日本の「Sarahah」の人気度を調べると、11月半ばごろから急上昇していることが分かります。
Sarahahとは、いったいどんなアプリなんでしょうか?
Sarahahとは? 匿名メッセージを受け取れる中東発のアプリ
Sarahahは、友人などから匿名メッセージを受け取れるアプリです。メッセージを受け取った人は、送信者を知ることはできず、直接返信することもできません。匿名の投書箱のようなイメージです。英語版とアラビア語版のみで、日本語版はありません。
開発元はサウジアラビアの企業で、「sarahah」は、アラビア語で「正直」という意味だそう。アプリの説明には「Sarahahは、従業員や友人から匿名でフィードバックを受けることで、あなたの強みや改善すべき点を発見するのに役立ちます」と書かれており、ビジネス用途での活用を想定して開発されたようです。
今年6月にアプリが公開されると、中東や欧米など海外の若者の間で7〜8月に流行。日本のブームは海外に遅れること約3カ月。11月になって急速に流行り始めました。
インスタの「ストーリー」から流行
日本での流行をけん引したのは、高校生や大学生など若者のInstagramのようです。特に、Instagramの「ストーリー」機能を通じてよく使われています。ストーリーとは、その日(24時間以内)に撮った写真や動画に、テキストなどを添え、24時間限定で公開できる機能です。
InstagramのプロフィールにSarahahのメッセージ受け取り用URL(ユーザーごとに発行される。メールアドレスのようなもの)を公開してメッセージを募集。メッセージを受け取ると画像キャプチャし、返信を書き加えてInstagramストーリーで公開するという使い方が広がっています。
Instagamストーリーは、24時間以内に撮影した画像のみ投稿でき、公開期間も24時間限定。更新するには24時間以内の“最新のネタ”が必要になります。Sarahahなら、届いたメッセージに答えるだけで新たな“ネタ”を作ることができ、フォロワーとも気軽に交流できるとあって、急速に広がったようです。
公開されているやりとりを見てみると、「○○さんに似てますね、かわいいです」「いつも投稿楽しみにしています」などフォロワーからの賞賛の言葉や、「彼氏いるの?」「イルミネーション、誰と行ったの?」など、本人のプライベートを探るもの、「おすすめの○○を教えて下さい」など軽い質問などさまざまです。
Twitterでも流行しています。Instagramと同様、軽い質問・回答のやりとりのほか、女性サッカー選手に「ゴールキーパーというポジションで大変なところは?」と尋ねたり、起業家に「最初に起業したときの自己資金はいくらでしたか?」と尋ねる――など、著名人と交流したり、専門的な情報を得るための質問も目立ちます。また、下ネタのQ&Aも多数投稿されています。
ブームに乗じたスパムや偽アプリも
このブームに乗じ、スパムも流行し始めています。「Sarahahでメッセージの送り主を特定する」とかたるスパムが出回っており、日本語のスパムも届き始めています。スパムメッセージに書かれたURLからは、個人情報を詐取するフィッシングサイトや悪意のあるアプリに誘導される可能性があるため、アクセスしないようにしましょう。
Sarahah運営元は、「Sarahahは、送信者の同意なしに、送信元を公開することはない」とヘルプに明記しており、「送信元が分かるというメッセージはすべて偽物だ」と注意喚起しています。
また、Sarahahの偽アプリも出回っているようです。Google Playには「saraha Mobile (日本版)」という名のアプリがあり、多数ダウンロードされていますが、これはSarahahとはスペルが異なり(最後のhがない)、開発元名も異なります。間違えないよう注意が必要です。
ブーム、すぐに失速か?
Sarahahのように匿名で質問できるサービスは、新しいものではありません。質問と回答で交流するサービスは、場や形を変えて何度も流行してきました。
2011年には、匿名で質問できる「ザ・インタビューズ」が登場。その後も同様なサービス「Ask.fm」が流行しました。さらにさかのぼると、多数の質問に答える形でプロフィールを作るガラケーサイト「前略プロフィール」(2002年〜)も大流行したほか、SNS「mixi」(2004年〜)では、質問リストに回答し、同じ質問を友人に行う「バトン」も流行りました。Sarahahは、これらのサービスの現代版と言えるのかもしれません。
ただ、こういったサービスは一時的に大流行しても、なかなか長続きしない面があります。質問の“ネタ”が一巡すると、聞くこともなくなり、自然に流行が収束していくのです。また、匿名による質問は、悪口や中傷、嫌がらせなどにつながりがちです。Ask.fmでは、サービスを通じて中傷を受け、自殺したユーザーもいる――とも報じられています。
Sarahahはどうでしょうか。キーワードの人気度を検索数からグラフ化する「Googleトレンド」で「Sarahah」を調べると、グローバルでは7〜8月がピークで、その後急に失速。日本では11月半ば以降に急に人気が高まっていますが、App Storeでアプリが1位になった11月20日ごろをピークに、人気が急下降しています。
ただ、App Storeのアプリランキングは27日現在も1位をキープしており、アプリのダウンロードの勢いはまだ続いています。また、「Yahoo!リアルタイム検索」でSarahahのツイート数を見ると、27日時点でも順調に伸びており、Twitterでは勢いが衰えていないようです。Sarahahは一時のブームで終わるのか、長く続くのか、注目したいと思います。
この記事は、11月26日にYahoo!ニュース個人に掲載された急速に流行「Sarahah」とは? 中東発のアプリ、日本でランキング1位にを加筆・修正し、転載したものです。
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