気象庁は12月5日、2017年の南極のオゾンホールが、1988年以来の小さな面積であったことを報告した。要因としては、成層圏の気温が高く推移したことでオゾン層破壊物質を運ぶ雲が例年よりも発達しなかったことが挙げられるという。
南極のオゾンホールは8月〜9月ごろから発生し、11月〜12月ごろに消滅する。気象庁が米国高級宇宙局(NASA)の衛星観測データを解析したところ、2017年のオゾンホールは最近10年間の平均値よりも小さく、例年のピークとなる9月中旬・下旬にかけても最近10年間の最小値より小さく推移した。
オゾンホールの発生メカニズムはこうだ。極域成層圏雲の表面でフロンが反応することで塩素ガスが発生し、太陽光によって塩素原子に変化する。この塩素原子が、オゾン層のオゾンと反応することでオゾンが失われ、オゾンホールが発生する。
極域成層圏雲の出現目安がマイナス78度以下という条件で、2017年の南極上空の気温は8月中旬以降高く推移したために、極域成層圏雲の発達が進まず、オゾン層の破壊が抑えられたと考えられるとしている。
オゾン層破壊物質であるフロンの濃度は緩やかに減少しているものの、依然として高い状態にある。世界気象機関と国連環境計画の報告では、南極上空のオゾン層が、オゾンホールのほぼ見られなかった1980年の水準に回復するのは今世紀半ば以降になると予測している。
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