「1人で6時間で作った」 Twitterで匿名質問「Peing」人気、月間2億PV超えへ
Twitterユーザーが匿名で質問を受け付けられるサービス「Peing」が流行している。開発したのは26歳の個人開発者・せせりさん。わずか6時間で作ったという。
Twitterユーザーが匿名で質問を受け付けられるサービス「『Peing』(質問箱)」(読みは「ピング」)が人気を集めている。11月22日に公開されてからまだ3週間弱だが、1日当たりのページビュー(PV)は800万を突破。このペースが続けば、月間PVは2億を超える勢いだ。
開発したのは26歳の個人開発者・せせりさん。わずか6時間で作ったという。
「こうすれば流行る」 実践で伝えたい
Peingは、Twitterを通じて匿名で質問できるサービスだ。人気の匿名質問アプリ「Sarahah」に似ているが、アプリのダウンロードは不要。質問して欲しい人は、PeingとTwitterを連携させるだけで自分だけの“質問箱”を作れ、ほかのTwitterユーザーから質問を受け付けられる。
開発したせせりさんは自称ニート。19歳のころから1人で30ほどWebサービスを作り、いくつかをヒットさせて売却。「残りの人生、贅沢しなければ働かずに生きてける」状況だという。
今年10月、これまでの経緯をブログで公開したところ、「どうすれば流行るサービスを作れるか」とよく質問されるようになった。「『こうしたら流行るよ』と言うより、実際に作って説明した方が伝わりやすいと思って」――。Peingを作ったのは、こんな動機からだ。
ヒントにしたのは「Sarahah」と、Twitterで“お題”を受け付けられるサービス「お題箱」。登録や操作をできるだけシンプルにし、Twitterのメディア欄(画像や動画が一覧で表示される欄)を圧迫しない仕様を追求するなど、気軽に使ってもらえるよう工夫した。
11月21日に着想し、わずか6時間で開発。22日にリリースしたところ、Twitterで次々に拡散されて人気を集め、公開5日目に初めてTwitterトレンド入り。公開10日で累計PVが500万を突破した。
突然、TwitterにAPIを凍結される
Twitter連携サービスならではの苦労もあった。オープンから約1週間の11月28日朝、TwitterにAPIを規制されてしまい、Twitter連携機能を使った登録や画像入りツイートが利用できなくなったのだ。
Twitterに理由を尋ねても明確には教えてくれなかったが、「公開数日でトレンド1位になるくらいつぶやかれたことで、スパムの可能性があると判定されプログラムによる自動凍結を受けたのではないか」とせせりさんは推定している。
凍結はなかなか解除されなかっため、仕様を一部変更。Twitter連携を使ったユーザー登録機能や画像付きで回答をツイートできる機能を一時停止し、連携なしで利用できるよう改良した。
あわせて、どんなアプリなのかをTwitterに根気よく説明し続けたところ、凍結から約10日後の12月6日にAPIが復活。Twitter連携機能や画像付きツイート機能も7日に復活させた。
その後も、サーバを増強したり、不愉快な質問を報告する機能を追加するなど、サービスの強化を続けている。今後の開発目標は「タイムラインの邪魔にならない」こと。複数の質問に一括で回答でき、1ツイートにまとめて投稿できる機能の追加などを検討している。
月2億PVは「想定外」 「楽しく遊んでもらえれば」
12月11日時点で1日当たりのPVは800万以上。このペースで利用され続ければ、1カ月に2億4000万PV(800万×30日)にもなる見通しだ。登録ユーザー数は41万、質問数は300万に上っている。
「こうすれば流行る」を、短期間で実践したせせりさん。流行らせるために意識しているのは、(1)サイト内だけで完結しないこと、(2)閲覧機能の一部をSNSに肩代わりしてもらうことで、たくさんの人に楽しんでもらいながら、サービスの負荷を抑えること、(3)5人いたら楽しめるようにすること――などだが、「細かいところは企業秘密」だ。
ただ、ここまでの急成長は想定外。「当初は、自分の周りで使ってもらって、3カ月ほどで月間10万PVくらいになれば、ブログで解説記事を書いてサービスは閉鎖しよう、くらいに思っていました。月間2億PVもさばいているのは企業サービスでも国内有数だと思いますし、今回は本当に良い勉強をさせていただきました」。
利用が急拡大する中、サーバの負荷が急増するなど課題に直面したが、仕事で大規模なサービスを運営している人から、ボトルネックになりがちな部分を教えてもらうなどして対応できたという。
Peingの運営に利用しているサーバは約20台。「サーバ代だけ出ればいいな」と、サイトに広告を1枚だけ貼っているが、収益化するつもりはない。「色んな使い方をされているようで、楽しく遊んでもらえれば。サービスの展望がある方がいたら、買収してくれると嬉しいです(笑)」。
せせりさん自身のPeingにも4000件以上の質問が届いているという。当初は「開発者なので全部答えないと」と考え、せっせと答えてきたが、全部に答えるのは難しそうな数にふくれ上がり、諦め気味だ。「『オーバーウォッチ』というゲーム(PlayStation 4向けアクションシューティング)をセールで買ったのですが、やる時間がなくて困ってます……」。
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