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チケキャン、利用規約にない「VIP会員」存在 ミクシィの対応遅れを指摘、第三委

「チケットキャンプ」問題をめぐり、ミクシィが第三者委員会の報告書を公開。報告書は、利用規約に明記がない「VIP会員」の存在を指摘している。ミクシィはフンザ買収時、会員の存在を認識していなかったが、対応が後手に回っていたという。

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 チケット売買サービス「チケットキャンプ」を運営するフンザの前社長が書類送検された問題で、親会社のミクシィは2月14日、第三者委員会の報告書を公開した。ミクシィのフンザ買収判断時のプロセスなどに「特段の問題はなかった」とする一方、利用規約に明記がなく、取引量の多さなどから手数料を割り引いていた「VIP会員」の存在を指摘。ミクシィはフンザ買収時、会員の存在を認識していなかったが、対応が後手に回っており、報告書は「レピュテーションリスク(風評により企業の信用が低下するリスク)への配慮が足りない」としている。

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チケットキャンプの公式サイトより

「大口の転売業者を優遇していた」との報道

 フンザはミクシィが2015年に子会社化。しかし17年12月、チケットキャンプのWebサイト上の表示を巡り、フンザが商標法違反と不正競争防止法違反の疑いで警察の捜査を受けた。ジャニーズ事務所の商標権を不正利用した疑いや、チケットの高額転売を助長する可能性が指摘されていた。12月末、外部弁護士を交えた調査委員会の報告を受け、ミクシィは18年5月末に同サービスを終了する方針を発表した。

 だが18年1月にフンザの前社長が詐欺の共犯容疑で書類送検される事態に。一部報道は、前社長らが大口の転売業者を優遇し、取引手数料を無料にするなどしていたと報じた。書類送検を受け、ミクシィは第三者委員会を設立していた

利用規約にない「VIP会員」の存在

 報告書によれば、ミクシィは社内規定上、必要とされた取締役会を経て買収判断したこと、外部専門家を起用して調査を行い、チケットキャンプ事業の法務上のリスク、買収価格が適当かを検討していたこと――などから、買収決定時に不合理な経営判断はなかったとみている。

 一方、チケットキャンプでは、チケットの取引量が多い出品者などを「VIP会員」とし、手数料を割り引く制度が存在したと、第三者委員会は報告している。フンザ営業部門の従業員が認定していたというVIP会員の存在は、利用規約などに明記がなく、ミクシィは買収時に認識できなかったという。

 ミクシィが把握したのは買収後の16年10月で、17年2月以降はVIP会員の新規獲得を行わず、12月に制度自体を廃止したとしている。17年夏ごろには制度の廃止を決定していたが、警察から一部のVIP会員の捜査照会を受けたため、すぐに廃止を会員に通知すると捜査に支障が出るとして遅れたという。

 第三者委員会は、VIP会員制度の目的は競合するチケット売買サービスの利用者をチケットキャンプに誘引するためで、高額転売の取引を促す意図はなかったとし、チケットキャンプ側に「転売者との共謀の事実が認定できるかはさらに慎重な判断を要する」としている。

 ただ、高額転売目的の取引を排除する姿勢を明確にせず、大量出品者を調査しなかったことは「社会的に非難されてもやむを得ない」と指摘。VIP会員制度を直ちに廃止することが難しい状況だったとしても、チケット販売関係者やマスコミが公表する前に、フンザが存在を公表し、今後の方針を示す対応も可能だった――としている。

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第三者委員会の提言=報告書より

ミクシィの対応策は

 第三者委員会の提言を受け、ミクシィは「レピュテーションリスクをより意識した経営判断を行う体制作りを再度徹底する」という。社外取締役を含む取締役相互の情報共有や、取締役会・監査役会への適時報告などが適切に行える体制を目指す。

 また、子会社を運用するに当たり、情報収集体制を強化する考え。グループ会社管理規定を見直す他、子会社管理部署の新設、重要な子会社での取締役会の設置、ミクシィ内に管理担当取締役の選任などを検討する――など対策を盛り込む。規定の見直しに伴い、内部監査室の増員などチェック体制も強化する。

 さらにグループの各サービスの利用規約と、ミクシィの認識や実態に齟齬(そご)がないかをあらためて検証し、発見した場合は速やかに是正するとしている。

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