企業PCのOS移行、Windows 7終了後も「半分ほどしか進まない」 IDC Japanの予測
IDC Japanが「国内法人市場Windows移行状況に関する調査」の結果を発表。Windows 7の延長サポートは2020年1月に終了するが、企業のPCは「半分ほどしかWindows 10にならない」と予測する。
IDC Japanは3月8日、国内法人PC市場のOS移行状況に関する調査結果を発表した。Windows 7の延長サポートは2020年1月14日に終了するが、調査ではサポート終了時点で企業PCの「半分ほどしかWindows 10に移行していない」と予測。同社の浅野浩寿さん(PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は「非常にまずい状況だ」と警鐘を鳴らす。
IDCが調査を実施したのは2017年9月。従業員数500人以上の大企業298社、2〜499人の中堅中小企業484社、官公庁や自治体、学校など79団体から計861の回答を得た。
2020年1月のWindows 7延長サポート終了を認識している企業や組織は全体の76.7%。大企業、官公庁や自治体などでは8割近い一方、中堅中小企業では7割ほどにとどまった。浅野さんによると「中堅中小企業の中でも建築土木業などは認識が低い」という。
Windows 10に「移行済み」と回答したのは全体の14.6%で、大企業は9.1%、中堅中小企業は19.6%、官公庁や学校は13.9%だった。「移行計画がある」のは、全体の40.6%。大企業では半数を上回り53.7%だったが、中堅中小企業は29.5%と低く、官公庁や学校は40.5%だった。
浅野さんは「16年に行った調査では移行済み、計画ありに相当する部分が38.2%だったことを考えると、17ポイントほど上昇している。各企業で認識やアクションは進んでいると思う」と話す。
しかし、国内で稼働している法人PCの総台数に対する「Windows 10に切り替え予定がある企業のPC台数」の比率を算出すると、サポートが終了する2020年上半期で51.5%と「半分ほどしかWindows 10にならない」(浅野さん)という。IDC Japanが算出した国内で稼働中のPCは3400万台ほどだが、うち720万台は2020年上半期で「移行計画の詳細不明」(20.9%)、350万台は「移行計画なし」(10.2%)、310万台は移行について「分からない」(9.0%)になるという。「サポートが終了しても『そのまま使えるからいいんじゃないの?』と考え、計画を立てなくてもいいと思っている企業もある」(浅野さん)
こうした問題はWindows XPのサポート終了時にも起きていた。
「XPの場合はサポート終了の半年ほど前に総務省が速やかな更新を求め、自治体や企業も動いた。(Windows 7終了については)今年から言わないと、全国的に広まらないのではと危惧している」(浅野さん)
ではなぜ、OSの切り替えは進まないのか。原因として、浅野さんは「使っているアプリケーションがWindows 10に対応しているから、容易に移行できると思っている企業がある」と指摘する。
「Windows 10対応のアプリケーションを7で使うというのはよくある話だが、(業務用アプリは)企業個々の事情に合わせてカスタマイズする部分も多い。Windows 10対応のアプリでも、ある部分については7向けになっていることもあり、早めに検証しておかないと、移行してから『あれ?』となる。企業は今後1年ほどでカスタマイズしている部分を先行してテストする必要があるだろう」(浅野さん)
また、特に中堅中小企業においてはIT管理者が経営層に対しOSの移行について提言することの必要性も指摘する。
「(OSの移行にあたり)中堅中小企業では経営層が『まだ使えるから変えなくてもいいんじゃないか?』と、遅らせようとする傾向が強い。それに対して『このままではXPの時と同じように使えなくなります』『セキュリティ上問題があります』『ネットにつなげられない状況になるかもしれない』といったことを、どれだけ提言できるのかが鍵になる」(浅野さん)
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