AmazonがQRコード決済に参入 アプリで使える「Amazon Pay」、中小店舗に照準
アマゾンジャパンが実店舗でのキャッシュレス決済に参入する。ユーザーが「Amazonショッピングアプリ」の画面上に表示したQRコードを、店舗側がタブレット端末で読み取ることで支払いが完了する。
アマゾンジャパンが、実店舗でのキャッシュレス決済サービスに参入する。同社が提供する「Amazonショッピングアプリ」(iOS/Android)を活用し、ユーザーがアプリ画面上に表示したQRコードを店舗側が専用のタブレット端末で読み取ることで支払いが完了する。8月29日から福岡市、東京都新宿区などにある数十の店舗で使える。
Amazonショッピングアプリの画面左上のメニューから「すべてを見る」をタップし、「Amazon Pay」を選択するとQRコードが表示される。会計時、このQRコードを店舗側がタブレット端末で読み取る仕組みだ。支払いは、Amazonアカウントに登録したクレジットカードで行われる。ユーザーにはメールで支払い完了の通知が届く他、Amazon Payのサイトでも決済情報を確認できる。
表示するQRコードは、不正利用を防ぐために30秒ごとに更新される。支払金額は、店舗側がタブレット端末で入力するため、ユーザーが支払う際はアプリを起動してQRコードを提示するだけでいい。
アマゾンジャパン Amazon Pay事業本部の井野川拓也本部長は「これまでAmazonのサービスはオンラインに偏っていたが、オフラインで買い物をする機会は多い。実店舗でも使えるAmazon Payを提供し、顧客とAmazonの接点を増やすことで、さまざまな場面でAmazonのサービスを利用できる機会を広げる」と話す。
キャッシュレス決済が普及していない「中小店舗」を狙う
日本国内では、既に楽天やLINE、NTTドコモなどがキャッシュレス決済サービスを展開し、メルカリやヤフーも参入を発表している。そうした中、Amazon Payが狙うのは、キャッシュレス決済の導入があまり進んでいない中小規模の店舗だ。
アマゾンジャパンは、モバイル決済サービス事業を展開するNIPPON PAY(東京都中央区)と協業。店舗向けに、NIPPON PAYが端末を無料で貸し出し、タブレット端末のレンタルとAmazon Payの利用を同時に申し込むと、2020年末まで決済手数料(通常3.5%)を0%にするキャンペーンを実施する。キャッシュレス決済に対応する高額なレジなどの導入が難しい個人商店などにも、Amazon Payの導入を促す。
29日時点では、NIPPON PAYがこれまで実証実験を行っていた福岡市の店舗や、早稲田商店会(東京都新宿区)の加盟店の一部などで、Amazon Payを導入する。NIPPON PAYの高木純社長は「東京では早稲田エリアを中心にAmazon Payを広げていく。ここがおそらくAmazon Payユーザーを増やす起点になるだろう」と意気込む。
一方、アマゾンジャパンは、将来的には競合サービスが多数進出するコンビニエンスストアや家電量販店などへのAmazon Pay導入も検討する。ただ、その場合はNIPPON PAYとの協業という形では行わないとしている。
ユーザーに「信頼を提供」
アマゾンジャパンの井野川本部長は「いろいろな決済手段がある中で、現金の利用がまだ7〜8割を占めているのは(消費者から)信頼されているからだ。キャッシュレス決済でも信頼を提供できれば、より多くの人に使ってもらえるのでは」と期待を寄せる。
「ユーザーが抱える『詐欺に遭いたくない』『QRコードを撮られて不正利用されたくない』といった不安を、保証プログラム(Amazonマーケットプレイス保証)や30秒ごとに更新されるQRコードなどの仕組みで解消し、Amazonというブランドで展開することで『これなら使ってもいいかな』と思ってもらえれば」(井野川本部長)
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