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宇宙空間、粒子同士は触れずにエネルギーやりとり 初めて直接観測

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 地球周辺の宇宙空間で、粒子から粒子へ電磁波がエネルギーを運ぶ過程の観測に成功したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの国際研究チームが9月7日に発表した。高エネルギー電子の加速メカニズムや、電子機器に悪影響を及ぼす「磁気嵐」が発達する過程の解析などに応用が期待できるという。

 粒子が電磁波へエネルギーを渡していることを直接観測したのは世界で2例目。電磁波から粒子へエネルギーを渡していることを直接観測したのは世界初。研究成果は米科学誌「Science」に9月7日付けで掲載された。


水素イオンと電磁波、電磁波とヘリウムイオンとの相互作用を示すイメージ(東京大学作成)

 宇宙空間は、粒子同士がめったにぶつからず、互いに影響し合わないほど物質の密度が低い。そんな環境でも、電子やイオンなどの荷電粒子は人工衛星に障害を与えるほどの高エネルギーを持つ。荷電粒子は、直接の衝突ではなく電磁波を介してエネルギーをやりとりしているのだと研究チームはいう。

 JAXAは、電磁波を介したエネルギーのやりとりを船の波に例える。「船同士はぶつからなくても、船から発生した波が他の船を揺らす。船の場合は水の波だが、宇宙空間では電磁波がその役割を持つ」(JAXA)

 研究チームは計測機材を搭載した衛星が取得したデータを解析。水素イオンからヘリウムイオンへエネルギーが運ばれる現象を捉えることに成功した。水素イオンの一部が、特徴的な動きをして電磁波にエネルギーを渡しており、ヘリウムイオンも電磁波からエネルギーを受け取る特徴的な動きをしていることが検出できたという。

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